第98話

パタン、と閉まったドアを見ながら、ハンドルに凭れかかって深い溜息を吐き出す。






…この感情が芽生えて、それを自覚したのはいつだっただろうか。






それは、気付いた時にはもう既に俺の中に居座っていた。






何で好きになったか、なんて。理由なんて分からねぇ。






だが、好きになるのは必然だった。








「は、初めまして。妹の心音です。」







恥ずかしそうに顔を赤らめて、上目遣いで見てくるココに、一瞬で心臓が持っていかれた気がした。







今思えば、一目惚れ、だったのかもしれねぇ。







俺の、淡い初恋。

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