第20話

冬悟side













”男性恐怖症になっちまったんだよ”











男性、恐怖症…。








大和さんから聞かされた事実に、思わず目を見開いた。















――――――――――――――――――――――








今日は、たまたま街で大和さんに会った。





いつもは車かバイクで移動しているが、今日はその時の気分で、歩いていつもの溜まり場に向かっていた時に、車で通りかかった大和さんに声を掛けられたんだ。





久しぶりという事もあったし、相変わらず強引な大和さんに連れられて家に招待された。








大和さんは、所謂俺の先輩で、最も尊敬する人でもある。





…荒れまくって、誰も手をつけられない一匹狼だった俺に、居場所を作ってくれた人。









「ここだ。」







程なくして着いたのは、普通の一軒家。






そういや、大和さんの家に来るのは初めてだな…。







『もう21時ですけど、お邪魔していいんですか?』






親御さんとかいるんじゃ…、と思ってそう聞いた。







「いや?大丈夫だ。この家、俺と妹だけしか居ねぇから。」







大和さんと、妹…、”だけ”?







俺が疑問に思ったのが分かったのか、






「あぁ。親父とお袋はいねぇよ。昔に死んじまったんだわ。」






そう、軽い口調で教えてくれた大和さん。






あまりにもあっさりした様子に、逆に俺もそれ以上は聞けなかった。






それにしても、






『大和さん…、妹さん居たんですね。初めて聞きました。』






今まで、大和さんに妹が居るなんて聞いた事なかったから驚いた。

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