第7話

そんな、全ての視線を無視して、足早に校舎へと向かった。






この学校には、上履きとかは無く、土足OK。






だからそのまま校内に入り、3階にある教室に向かう。






教室に着き、中に入れば、






「あ、心音(ここね)!おはよー。」






唯一の友達の依里(より)ちゃんが笑顔で手を振ってくれた。





『依里ちゃん!おはよ!』





私も思わず笑顔になって駆け寄った。





依里ちゃんは私の前の席で、入学式の日に話し掛けてくれたのだ。





この学校では珍しく、ナチュラルメイクな依里ちゃんは凄く美人さんだ。





こんな地味な私とはどう見ても不釣り合いで、私なんかと一緒に居てもいいの?と疑問に思って聞いてみたけど、物凄い形相で怒られてしまった。






自分の席に座って、依里ちゃんを見てニコニコしていれば、





「くっ…!何て可愛いの…、私の天使…。」






急に依里ちゃんが、意味が分からない事を呟きながら胸を抑えて悶え始めた。






『えっ、依里ちゃんどうしたの!?どこか具合悪いの!?』






どうしたんだろ急に…。





「あ、ごめん大丈夫大丈夫!大した事ないから!…(心音が可愛すぎるだけだから。)」






そんな事を思ってたとは知らずに、大丈夫という言葉に安堵した。






「それにしても、また今日も完璧に地味子ね心音。…素顔は超可愛いのにもったいないわほんと。」






眉を下げながらそう言う依里ちゃん。














私の”素顔”。






…可愛いかは別として、私の素顔を知っている人は少ない。





私の兄、昔から知っている兄の友達で私の担任の先生、そして依里ちゃん。この3人だけが、私の素顔を知っている。





兄とあの人以外に素顔を見せるつもりはなかったけど、鋭い依里ちゃんには、私が素顔を隠しているという事に気付かれ、半ば脅されて見せたのは記憶に新しい。

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