第84話
そうすれば、面倒そうに顔を歪める茶髪。
「あー…、元々今日は乗り気じゃなかったからな。しつけぇから適当に相手してやろうと思ってたらちょうどよくお前がいたから、利用させてもらったわ。」
首の裏に手を回しながらそう言う茶髪に、今度は私が顔を歪める。
こいつ…、そんなくだらない理由でなに私を巻き込んでくれてんだこの野郎。
お前らが来なけりゃ、必死こいて発作を抑えようとしなくてもよかっ…、あ…、発…作…?
しまった…っ。そう思ったと同時に、
『は…っぁ!けほっ…、!』
思い出したかのように、発作がぶり返す。
「…はっ?お前、」
突然変わった私の様子に、目を見開きながら戸惑っている茶髪。
くっ、そ…。さっきまで上手い具合に忘れてせっかく治まってたのにっ。
しかも、目の前にまだこいつがいるの、に…っ。
『…わ…、はぁ…っ、い…い、けほっ…、い、け…っ、』
”私のことはいいから、早く行け”、と茶髪に言いたいのに、口からは荒い呼吸と咳が出てくるだけで、言葉に出来ない。
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