第71話
驚く間もなく、ストンッ、と硬いコンクリートの地べたではない”どこか”に着地した。
『…は?』
ピシッ、と固まった空気。静まり返ったこの空間に、気の抜けた私の声がやけに響いた。
状況を把握しようと目を動かせば、パソコンをしていたはずの青メッシュ、私の隣に誰が座るかで言い合いをしていたキャラメルと金メッシュ、その全員が驚いたように目を見開き、私、正確には私の”後ろ”を凝視して固まっていた。
嫌な予感がして頭を抱えたい衝動に駆られるが何とか抑え、私も恐る恐る振り向けば、無駄に端正な顔が至近距離にあって、サッとすぐさま顔を前に戻した。
いや…、は?何で赤髪の顔がすぐ後ろにある?と酷く混乱する頭で必死に考える。そして、理解した。…私は、赤髪の胡座をかいた”足の上”に座っているのだと。
私がそう理解した瞬間、固まっていた周りの奴等もようやく動き出した。
「ちょっと羅依、何してんの!琶來は僕の隣に座るんだから、離れて!」
立ち上がって、怒ったように頬を膨らませているキャラメル。
「…羅依、琶來から…、離れて。」
静かに、だがその目付きは鋭く、後ろの赤髪を睨みつけている金メッシュ。
「…これは、面白いですね…。」
小さく何かを呟き、口元を覆って笑っているのか小刻みに肩を震わせている青メッシュ。
そんな3人を順番に視界に入れ、ハッと我に返った私は、今自分が座っている場所から逃げ出そうと足に力を入れる。
だがそんな私の動きを察知したのか、素早く腰に回される腕。まるで”逃げるのは許さない”と言っているかのように、ギュッと強く締め付けられた。
『…どういうつもり?』
赤髪の意図が分からず、思わずそんな言葉が零れた。
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