第58話

「こんな短時間の内にあの女嫌いの藍都まで懐くなんて…、やっぱり他の女とは違いますね。」





「ははっ…、女の癖に頭突き…、やっぱお前面白ぇわ。」





「…藍都、離れて。」





「…俺も、興味湧いてきたかも。」








私が突然のキャラメルの行動に固まっている間に、意味不明な事を言い始める連中。






青メッシュは興味深そうにこっちを傍観してるし、赤髪に関しては何故か爆笑している。





金メッシュに至っては、私の腰に巻き付くキャラメルを引き離そうと必死だ。





残る茶髪に目を向ければまたもや色気たっぷりの笑みを向けられ、悪寒がしてすぐ様顔を逸らした。






…あの茶髪は苦手な部類だな。






頬が引き攣りそうになるのを何とか抑え、とりあえず未だ言い合っているキャラメルと金メッシュに目を向けた。






「藍都…、いい加減離れてってば。」





「やだね!凌央こそあっち行ってよ!」







私の事はそっちのけで、離れて、離れない、と何故か訳の分からない言い争いを続けている2人。






…はぁ。ほんと、面倒くさそうな2人に懐かれたもんだな私は。





面倒くさいが、いい加減離れてくれないと動けない。






『…あんた達、いい加減離れてくれる?邪魔なのよ。』






容赦無くそう言うが、






「えっ…、琶來…、僕の事、嫌い…?」





目に見えない耳としっぽを垂らし、捨てられた子犬の様な目をしてそう言ってくるキャラメル。





…いきなり呼び捨てかよこいつ。





金メッシュは、無言でしゅん…、と落ち込んだ様に見つめてくる。






うっ…。こういう顔に弱いんだよな私…。






だけど、嫌いも何も今日初めて会った奴等だ。





そんな感情はまだ芽生えてすらいない。

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