豚人間のクーデター
クライングフリーマン
豚人間のクーデター
ある国のお話。
その国では、戦争で死んだ人達を祀る、特別な神社、易い国シュラインがあった。
その昔、世界中が、いや、世界の大きな国が沢山参加した戦争があった。
その国では、易い国シュラインに戦没者を祀っていた。
あるとき、シュラインを纏める『大葱』が病気で倒れてしまった。
ここぞとばかり、『運営委員会』の葱長が言いだし、『戦争の言い出しっぺ』である『戦争委員会』の会員が、戦争犯罪者として罰せられたにも拘わらず、『包括』することが決まった。
『包括』とは、追加供養のことだった。
「死んだら、みんな、あの世に行くんだから」。それが理屈だった。
皆、クビを傾げた。戦争犯罪者の遺言でもなく、同じ『氏子』である国民の意思なんか関係無く、祀ってしまったからだ。
それからというもの、政治家達は、シュラインに行きにくくなった。
兵隊として亡くなった人に拝みに行くだけなのに、『まんなか国』や『はじっこ国』が煩いのに行くのか?と瓦版屋達が騒ぐからである。
実は、裏があった。
葱長は、『まんなか国』のスパイだったのだ。
大金を貰って「ええ、末代まで無利子無担保無回収で貸してくれまんの?助かるわあ。」とはげ頭、いや、スキンヘッドを撫でながら葱長は喜んだ。『運営委員会』には、はした金で買収した。
そして、政治家が、お参りしようとすると、「政治家の誰それに『拝み両』貰いましたぜ。」と、瓦版屋達に情報を流した。
そして、『まんなか国』は激怒する。戦争犯罪者を拝みに行ったのでなく、戦没者に拝みに行ったと言っても、内政干渉してくる。
その度に、政府からお土産持って謝りに行かなくてはならなくなった。
ある時、裏切り者が出た。『運営委員会』に『分け前少ない』と思う輩が登場し、録音データを公開してしまった。
国中で、怒りで顔が真っ赤に染まった人間は、豚人間になった。
その憎しみのパワーが豚人間に変貌させたのだ。
そして、葱長は、体長20メートルの巨大な体になった。
豚人間達は、シュラインの側に立つ怪物に向かって行った。しがみつくと、溶けていくのが判った豚人間達は、更に集結した。そして、豚人間達は怪物と共に溶けて消えて行った。
夜明け。怪物はいなくなった。
政治家達は、シュラインから戦争犯罪者を分離した。
そして、大勢の葱が集まって、祈祷した。
『まんなか国』の代表は言った。「この神様の名前が悪い」と。
ブヒー!!
―完―
豚人間のクーデター クライングフリーマン @dansan01
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
そこに私は居ません/クライングフリーマン
★0 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます