第12話 エリア・ステーション
■エリア、立川ステーション■
ようやく足が動くようになった。状態異常についても確認が必要だな。
道すがらモンスター共がうようよいて、そこらで戦ってるやつらをうらやましそうに見ていた。
初日なだけあって全員夢中でバトルしてるんだろう。
俺もそうしたいんだけど、移動手段やらが気になっちまった。
駅内部は一部機能が使えるようで、電車こそ走ってはいないがNPCらしき人物も初めて発見した。
町として機能しているエリアは少ないらしいが、ステーションで簡易的に取引は行えるようで、ここには他プレイヤーも多く見受けられる。
不用品売買してカーネを貯めてるんだろうな。
MMORPGじゃ金策は基本中の基本。
うまい金策場なんかには直ぐ人が群がるってのがセオリー。
俺の裏チュートリアルだって、知りたがってたやつらはレア装備の有無やら、金策の手がかりやらでとにかく情報を無料で入手するために集まって来た輩だろう。
まぁ、あのチュートリアルに関しちゃバグから始まった偶然だ。詳細を聞かれても俺は知らない。
■立川ステーション、壁画内ショップ■
リリの指示された場所に向かうと、そこは立川じゃよく待ち合わせ場所に使われていた壁画の中。穴が空いていて、その内部が店になっていた。
「ねぇ見てよあの仮面。なにかな」
「課金アイテムじゃねーの? 知らねーけど」
「課金アイテムって実装されてるの?」
……つか、人が多いし周りの奴らに噂されはじめてる。さっさと済ませて移動しよう。
「いらっしゃい。取引希望かい?」
「ああ。これらを買い取って欲しいんだけど」
俺が掲示したのはゴブシリーズの武器全部。
はっきり言おう。
全部いらねー。
「これはリデンプションゴブリンの斧か。大物だ。入手困難な品物だが、いいのか?」
「構わねーよ。んなでかい斧使うことなんて絶対ねーから。見た目もごつくてださいし」
「なら、全部で四千と十三カーネで引き取ろう」
「……その十三ってこん棒とダガーの方か」
「そうだが、不満か?」
「トータル四千と三十カーネか。リリ、それだけあれば足りそうか?」
「十分よ。思ったより斧の価格が高いわね。でも本当に売っちゃっていいの? 素材もあるんじゃない?」
素材は使う可能性があるからな。
この斧は使わないだろうからさっさと処分だ。
カーネ手に入れたら買い物もしたい。
仮面に黒スーツだけじゃ今後が不安だ。
外見的な意味でも。
「武器や防具は売ってないか?」
「大した装備品はここには置いてないが、それでも見ていくかい?」
「やめとくか。カーネさえあれば他でも買えるよな」
「それが賢明ね。今は先を急ぎましょ。私もちょっと不用品売るわね」
リリが売ってる間にリファレンスでステータスチェックしておくか。
スキルもいっぱい増えたし、どうなってんのか見るのが怖いな。
称号がどうのとかも言ってたっけ。変なアイテムもあったよな?
どれ……「リファレ……むぐっ」
「ストップ! ここでは止めておいた方がいいわ。移動しながら確認しましょう」
……リファレンスすっとまずいのか?
移動用デバイスとやらをレンタルしてからでいいか。
ハンドフープだっけ。いくらするんだろ。
リリに任せるか。
■エリア、立川ステーション、ムービングライン■
「……高ぇ」
「仕方ないじゃない。早く行きたいんでしょ? それなら非、エネミー地帯の線路跡を通っていくのが
ハンドフープってやつ自体のレンタル料は
しかしこの、電車が走っていた線路をハンドフープで移動する権利が高かった! 一回買っちまえばその路線は使えるらしいんだが、要所要所で買う必要があるんだとか。
「クエストの情報、無料なわけないわよね?」
これが決定的な
この
俺の所持金は残り千と八百三十カーネしか残っていない。
ぐちぐちと文句を言う暇があったら稼ぐ方が早い。
金額が足りなかったら外の道を走るだけだったろうから時間が掛かって仕方なかっただろう。
タイムイズカーネだ。さっさと行こう。
このハンドフープってのは外で見かけた街灯みたいなものと似てて淡く発光してる。
大体は想像がつくが、これが電気の代わりみたいなもんなんだろうな。
だが、電車とかに流用できるほどではないらしい。
あるいは技術を確立できていないか、どちらかか。
操作方法を販売員から聞いたが、割と単純な構造。原動機付二輪自動車並みに簡単だ。
スイッチを入れるとハンドフープが軽く浮く。
それに乗り、固定されたハンドルを握り前に倒すと前進、後ろに倒すと後退、左右は旋回と実にシンプル。
障害物には弱いらしく、線路など他になにも無い場所を走る方が安全で早く移動できるってわけだ。
試しにスイッチを入れると確かに浮いた……ホバーみたいで恰好いいが、人を乗せて走れるほどパワーが出るのがすげえ。
数年前に時速百キロで走るホバーバイクが売り出されてたし、これくらいの技術が地球にはすでにあったわけだが、燃料すら無しでってなると動力源がやっぱ気になるな。このゲーム、物理法則無視は今のところ感じない。スキル使用時にのみ多少の違和感がある程度だ。その辺の研究も後回しだな。
このハンドフープ、乗ってみると思ったより安定して走れるし速度もなかなかだ。
これでレンタル料百カーネなら安い。
もっと広い道路を走ってみたいが、外はゴブリンやらがいる。
もし襲われてハンドフープが大破されたら罰金。カーネが足りなければ借金を負うことになる。
「今のうちにステータス確認しておくんじゃなかったのー?」
「できるかー! ぶつかるわ!」
「ふふふ、そう思わせるために言ったんだけどね」
「おい、あんまり近づくとぶつかる……くっついた?」
「そ。二人分くっつけて運転できるのよ。レンタル代出してくれたから、お礼に操縦しといてあげる。今のうちに確認したいこと、しちゃっていいわよ」
「便利だな。んじゃお言葉に甘えて。リファレンス!」
※※※※
Name:ダッシュ
Tribe:ヒューマン
Level:9
Class:無
Unique Name:無
HP(体力):25
MP(魔力):0
ST(スタミナ):20
STR(筋力):10
AGL(敏捷):35
VIT(耐久力):10
LUC(幸運):15+???(???)
割り振り値:20
スキル:格闘
ワンツー、キック、タックル、浮水蹴り、ローリングソバット
スキル:シールド
シールドバッシュ
EXスキル:格闘
ジャストフロー、ジョルトカウンター、雪影、シザーズヒール
ユニークスキル:格闘
雪影シザーズ
装備
武器:シンプルナックル、シンプルシールド
頭:奇妙な仮面(U)※未鑑定※
胴:サイバースーツ(黒)
腰:無
足:無
装飾品:無
※※※※
なんかの補正が掛かってる。なんだこれ?
そーいや称号は獲得用アイテムだったな。
最速ユニーク到達者を使ってみるか。
……つか、リリがこっちのリファレンス覗いてるじゃねえか! あんなこと言っておいて、見るのが目的だろ、こいつ。
「今のところ敏捷性に極振りなんだ。極振りは対策されやすいから止めた方がいいわね」
「格闘でいくなら敏捷性と体力……つまりバイタリティー、それに筋力でいいんだろ?」
「そうね。筋力はあまり影響を受けないわ。攻撃の振り、その速さに繋がる敏捷性が
「
「そのまんまよ。称号が付与されるの。付け替えもできるわよ。それに……ううん、つけてみてからのお楽しみ。早速使ってみなさいよ」
「んじゃ、最速ユニークの方を使うか!」
「いいなぁ。それ狙ってたのに」
『ダッシュ様。新規称号を獲得しました。ステータス画面を確認してください』
「ついでに敏捷性と耐久性に十ポイントずつ割り振って……と。もう
※※※※
”最速のU”
Name:ダッシュ
Tribe:ヒューマン
Level:9
Class:無
Unique Name:無
HP(体力):35
MP(魔力):0
ST(スタミナ):40
STR(筋力):10
AGL(敏捷):45+20(TB20)
VIT(耐久力):20
LUC(幸運):15+???(???)(TB10)
割り振り値:0
スキル:格闘
ワンツー、キック、タックル、浮水蹴り、ローリングソバット
スキル:シールド
シールドバッシュ
EXスキル:格闘
ジャストフロー、ジョルトカウンター、雪影、シザーズヒール
ユニークスキル:格闘
雪影シザーズ
装備
武器:シンプルナックル、シンプルシールド
頭:奇妙な仮面(U)※未鑑定※
胴:サイバースーツ(黒)
腰:無
足:無
装飾品:無
※※※※
「こ、これは……TBってのはタイトルボーナスか。称号が名前の上に付いて称号ボーナス値が反映されてる? いいなこれ」
「でしょ? 称号集めるだけでも楽しめるし、それに未使用称号は売れるのよ」
「……今なんつった?」
「だから、未使用の称号は売れるの。
「十万だとおおおおおお! 先に言えよ、おい!」
「いいじゃない。たかが十万円でそんなレア称号手放すなんてもったいないわよ、ふふっ。さぁもう直ぐ到着するわ」
「その前にスキル説明の確認……どわぁーー!」
スピードさらにあげやがった。
……十万円はたかがじゃねえ。
高校生にしちゃ高すぎる金額だ。
称号がアイテム化されてるのは不思議だったが、必要なさそうな称号を売れるってのはいいな。
もうじきエリア国立ステーション。
いよいよパクリマ、本格的なスタートだ。
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