第6話 トラウマ
私が中学一年生の時、好きな人がいた。その人は学年のモテ男だった。名前は
中学に上がると、彼は声変わりし、男らしい低い声になった。そのうえ、髪型は女子に人気のセンター分け。バスケが上手で、容姿端麗、性格も良い。まさに少女漫画のヒロインが恋をするモテ男は、それ相応のモテっぷりだった。
そんな彼を好きになるはずがない……そう思っていたのに、彼がちょっかいをかけてくる度にドキドキするのはなぜだろう。
私はいつの間にか好きになっていた。それは相手にも私の友達にもバレバレで、友達からはよく「聡太のこと好きすぎ!」「顔赤いよ、美桜ちゃん」とからかわれた。
中二になり、クラス替えでクラスが別々になった。聡ちゃんとは◯INEで話せるが、寂しい……否、これで腐れ縁が切れた、良かったと、自分に言い聞かせていた。
だがそれも限界になり、ついに告白。四月十五日のことだった。
電話で伝え、まさかのOKをもらった。後から聞いた話だが、彼にとって私は初カノだったらしい。
その五日後、気まずいという理由から友達に戻ってほしいと、聡ちゃんから告げられた。付き合って五日で別れた。別れてもなお私は彼のことが好きで仕方なくて、その気持ちを抑えるべく、私は勉強に集中した。
驚くことに、その時の期末テストは総合学年一位になり、心の中でガッツポーズをした。
この頃から勉強中心の生活となっていた。
その年の九月頃。私は聡ちゃんの仲良い友達・
照田と話しているうちに、聡ちゃんと照田の違いが見えてきた。聡ちゃんは自分で言った約束事を忘れてしまい、彼の「また今度ね」は信用できなかった。一方、照田は約束は忘れてしまうことがあっても、「また今度ね」と言うのではなく、次の日程を提案してくれる。
文化祭二日前の、十月十九日。私と照田は電話していた。私は彼のことが好きになっていた。
「私、照田のこと好き」
「え、俺も美桜のこと好きだよ」
「じゃあ付き合ってくれる?」
「うん」
トントン拍子に付き合うことになった私たち。
付き合って一か月後くらいに、聡ちゃんも他校の後輩と付き合ったという話を聞いた。私は照田と毎日ラブラブしていたのであまり興味はなかったが、その付き合いも一か月程度で終わってしまったようだ。
照田とはハグもキスも、その先のこともやった。……セックスまではしていないが、途中まで……。
そんな最中、突然別れを告げられる。
今日は付き合って三か月目の一月十九日だ、とウキウキしながら布団から出て、スマホを見ると、こんな〇INEが。
『考えてたんだけど、好きかどうかわからなくなった』
『だから別れてほしい、ごめん』
ショックのあまり、涙も出なかった。
すぐに聡ちゃんに連絡し、朝学校で話した。
「なんで別れたの?」
「好きかどうかわからなくなった、って」
「大丈夫?」
「うん」
別れた、という事実を友達に伝えなければならないことが、私をさらに辛くさせた。私たちは公認カップルだったのだ。むろん先生もそのことは知っていた。
別れたことを伝えると、最初こそは「別れたのかよー」と煽る
別れた後は病んでいた。寂しさを埋めるように独りで致すが、足りない。誰かと話していたい欲でどうしようもなくなってしまう。照田との電話が、ハグが、キスが、どれほど私の支えになっていたか、思い知った。勉強への意欲も失った。集中できなかった。
その後、なぜか照田は不登校になった。後から聞いた話によると、家族関係で病んでしまったらしい。
そんな状態でネットの世界と出会ってしまった私は、ネットに浸る。エロいこと(イプ)がし放題のネットは、ぽっかり空いた心、そして寂しさを埋めるのにちょうどよかった。
だが、それも束の間、そのことが親にばれてしまう。そのおかげで、スマホは夜十時までにはリビングにあるテーブルに置くこと、朝六時までは使ってはいけないことが決められてしまい、ついに死にたいという気持ちも芽生えてしまった。だがその時点で、私は次期生徒会長であることは決定していたため、死のうにも死ねない。これがまた辛くさせた。
それを、私は父と母に相談した。……それが人生最大の過ちだったと、今は思う。
死にたいといった私に対し、母は鼻で笑った。その時、私の中の何かが、パリンと音を立てて壊れた。脆くて壊れやすいその何かは、今でも修復できていない。
父は知らない人に殺されるよりは自分で死んだほうがいいという持論を持ち出し、さらに事をややこしくさせる。
私はそれ以上のことは覚えていなかった。母はすごく怒っていて、暴言とも言えるようなことを言っていたような気がするが、正直覚えていない。……脳が、思い出さないようにしているのかもしれなかった。
ああ、この人たちはきっと自殺願望者への理解ができないんだな。そっかそっか、仕方ないよ、仕方ないんだ。この人たちに理解を求めるのはやめよう。私が傷つくだけだ。これ以上傷つかないように、私は自分の心を閉じ込め、親との関わりを一切立った。
親は自分たちがしたことを覚えていないのか、反抗期になったとからかったり、何で反抗するのと怒ったりしていた。私は嫌だったことを指摘する余裕もなく、ただひたすらに我慢する日々が続いていた。
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