第4話 貴族パーティって憂鬱
「こんな服着たくないんだけど」
「貴族のパーティーなので仕方ないですよ、カイル様のお父様はオーダーメイドの動きやすい服をご用意されていましたよ」
つまりは金を稼いで用意してみろという事かやってやるよ、こんな堅苦しい服、何かあったらその場で死ねと言わんばかりだ。
まあ、少し言い過ぎたがそれにしても堅苦しいのだ。
「今日の夜だけですから、我慢してください、行きますよ」
「はぁーい」
馬車に乗せられて王城へ向かう。
貴族のパーティーと言われて前世のイメージから面倒な言葉使いやら腹の探り合いの印象が強くて憂鬱だ。
ま、子供同士のパーティーなんてそこまで考えなくてもいいだろう、いいよな?
「私がついていけるのはここまでです、王女様への挨拶だけは絶対ですので忘れないでくださいね」
「もちろん」
このパーティーの俺のミッションは王女への挨拶のみ、終わったらバルコニーにでも出て時間を潰そう。
よしよし、計画は完璧……
王城に入るとメイドの1人が付いてくれ会場まで案内してくれた。
一際大きな扉を開けると豪華な装飾で飾られた大きな広間が現れた。
奥には王女様が座っており挨拶の列が出来ている。
(あの列に並ぶの? 憂鬱なんですけど、俺、辺境の貴族だから友達がいない)
とりあえず、列に並んで順番待ち暇な時間は魔力操作の練習をして暇を潰す。
最近、水魔法で造形するのが趣味になったのだ。
異世界で見たものを水で再現して楽しんでいる、道中で出会った魔物とかを再現してセスに見せると驚かせることができた、実に愉悦を感じれた気がする。
「次の方」
お、ついに俺の番が来たらしい。
「セシリア・シュゼルナーべ様、お初にお目にかかります、カイル・アイルバです」
「顔を上げてください、今日は私のためのパーティーではありません、アイルバ様も是非楽しんでくださいませ」
「ありがとうございますそれでは私はこれで」
やっと終わった、少し探るような目をされたがセスの話では魔法を感知出来るような子供はここにはいないはずだし、護衛の兵は元々厳しい目をしているので探られているのかすら分からない。
「ここがバルコニー、涼しくて夜景が綺麗だな」
「ここは静かでいいですね、まあ、私にはあなたに見える夜景は見えませんけど」
先客が居たのかそう思って彼女の方を見ると思わず見惚れてしまった。
綺麗な銀髪が夜風に吹かれて月明かりが反射するその髪は宝石のように光り輝いて見えた。
そしてもうひとつ驚いたのは彼女の目は布に覆われており胸元には公爵家の紋章がついている。
「失礼しました、公爵家の方でしたか」
「ふふ、気になさらなくて結構です、ここは交流の場なのですから礼儀を気にする大人は居ませんから」
「そういう訳には……」
「それに私は魔眼の魔女ですから」
「魔眼……?」
この世界での魔眼は目で見たものに色んなデバフ効果を付与する物だったはず、闇魔法と同じくあまり世間での印象は良くないらしい。
「あら、私のことを知らないということは王都から離れた場所の人なのですか?」
「も、申し遅れました、カイル・アイルバと申します」
「辺境伯の! ふふ、そうでしたか、あなたは怖くないのですか? 魔眼と言うだけで避ける方も多いですのに」
「魔眼も使いようでしょう、あなたからは敵意が感じられませんし」
「使いようですか……面白いことをおっしゃるのですね」
「そうでしょうか?」
「良ければ少し私とお話しませんか?」
どうやら俺は貴族から逃れようとして今相手に出来る1番上の位を相手にしなければ行けなくなったようだ。
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