第15話 気付かなかった

 フランソワは、魔道具が売れたのが余程嬉しかったのか、ずっと笑顔だった。


 お祝いと言ってた様に、ロゼの料理は豪勢だった。

 デザートは、シャクシャクした歯触りの果物に蜂蜜を掛けた物、お茶は飲んだ事の無い物で、ハーブティーってフランソワが教えてくれた。


「ヒロ師匠、叙勲の御返しにオートマタワインを父に献上して貰えませんか?」


 そうか! 御返しと言うか叙勲されて、有り難うでは済まないよな!! 言われないと気付かなかった。

「ワインと別れるのは寂しいが、エンディ男爵様なら大切にしてくれそうだ。

ワイン良いか?」


「はい、ヒロ様のお役に立つなら、献上して下さい! 私の予想ではエンディ男爵様はフランソワ様に私を譲り、今まで通りの暮らしに成ると思われます。献上は形式だけの物でしょう」


「父なら、ワインが言う様にされるでしょう」


 又々気付かなかった! ワインは、状況情報を駆使して未来予想まで出来る、超優秀な頭脳を持って生まれたオートマタだったのか!!


 そうなると……ミヒロは魔道具を作れるかも? 気になる!

「ミヒロ? まさか、魔道具作れたりしないよな?」

「手作り魔道具なら、素材が有れば可能ですよ」


 思い付きで言ったのに、マジで作れるんかい!!


 ミヒロは僕の魔力を過剰に込めてる、上手く指導すれば魔力製作の魔道具も作れる様になるかも。


「ミヒロ、明日魔道具製作遣ってみるか?」

「ヒロ師匠、明日1日しか叙勲準備する日が無いですよ? 明後日が叙勲です! 呑気過ぎます!」

「叙勲準備って? 何かするの?」

「馬車は私の物で大丈夫ですが、叙勲用正装って師匠持ってます?」


「新しい服なら有るが?」

「はぁ~、ロゼにワインそれにミヒロ、騎士爵叙勲の礼服って分かるよね?」

 機械人形とオートマタ二人がうなずいてる。


 叙勲の礼服なんてのが有るのか? そんなの持って無いぞ!

 フランソワは会話機を作動させた。

「お父様、ヒロ師匠の礼服……準備して下さって? ……ありがとうございます、明後日早朝に伺います……いえ師匠の弟子ですから、ヒロ師匠が新作オートマタを献上します……はい!」


 エンディ男爵と会話が終ったようだ。


「師匠父が礼服準備してました。『伺うじゃなく帰るで有ろう』と注意されましたが、私は師匠の内弟子と言ってやりました」

「エンディ男爵を悲しませちゃダメだぞ」


「私は18歳独立する年ですわ!」

「フランソワは僕と同い年だったの? 確りした年下と思ってた」

「確り……年下……うふふ」

 思ってた事言ったら、フランソワ変になった。






 翌日時間が空いたので、ミヒロに魔道具の手組させようと思ったが、素材が無い。

 フランソワが用意した、大量の素材を借して貰う事になった。

「借りるじゃ無く、自由に使って!」

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