魔道具師の下剋上物語り

犬時保志

第1話 プロローグ

「ヒロは母さん以上の凄い魔道具師になるよ」

 笑顔で優しく頭を撫でてくれた、母さんの手は温かかった。


 母さん、僕は・・・

 困った様な顔の母さんだった。


 目が覚めた僕は泣いていた。

「また母さんの夢を見てた」

 僕はあの時何て言ったっけ?

 母さんは凄い魔道具師だったが、家は貧乏暮らしだった。


 母さんは、僕が12歳になると家で魔道具を作らず、何処かに出掛けてそこで魔道具を作る様になった。


 母さんは有名な魔道具師で、魔道具作りを側で眺めてるのが僕は好きだった。

「魔道具は繊細で出来上がりは同じ様でも行程は魔道具師一人一人で違った方法が有る、ヒロが独自の製作方法を確立させる邪魔になる!あまり母さんの作り方見ない方が良いよ」


 今思うに、母さんは魔道具師として天才か奇才だったのでしょう、教えるのは壊滅的にダメ人間だったけど。



 亡くなった母さんが残してくれた意外に多かった財産で、僕は母さんが望んでた魔道具師、寮付の専門学校に入学した。

 母さんが残してくれた、沢山のお金を見て「こんなにお金があるなら、母さんと一緒に美味しいもの食べたかった」と、悲しみで混乱しながら思ったものだ。


 母さんの死因とかその後どうしたとかは全く覚えて居ない。


 ぼーっとしてる場合じゃ無かったよ。

「今日は卒業認定試験の日だ、母さん頑張って卒業認定してもらうよ!」

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