「逢いたい」がいっぱいになったら~私の長い片想いが終わる時
大町凛
第1話 片想い
ずっと、あなたが好きだった。
だけど、出会ったときには、もうあなたの隣には彼女がいた。
可愛くて、優しくて、かっこよくて、後輩の私にとって素敵なお姉さんだった彼女さん。
どちらも大好きな大切な二人だから、この気持ちは出してはいけない。
でも、もうこの片思いは終わりにしよう。
終わりにしなくては、、、辛くなるだけだから、、、。
*****
週末。
私は久しぶりのフットサルの大会に出る。
大会と言ってもフットサル施設が主催の男女混合チームの大会。
私は織部美琴。
フットサルをする時の私はほぼすっぴん。
ゆるくパーマをかけた肩より少し長い髪は、いつもと違ってきっちりと低めのポニーテールにしている。162㎝の少しだけ高めの身長。
低めの鼻に普通の唇。二重の猫目。長くて濃い睫毛以外ごくごく普通。
趣味は大学から始めたフットサル。
男女問わずサッカー好きの集まった大学のフットサルサークルは楽しかった。
そのサークルで知り合ったのが、明石健だ。
今、私を助手席に乗せ、この車を運転しているイケメンだ。
健は大学のフットサルサークルの先輩で同じ会社の先輩。
この大会に誘ってきたのもこの男だ。
ーーー明石健。今も昔もかなり素敵な男だ。
まず外見。
少し癖のあるダークブラウンな髪は短く切られ、パッチリとした二重の目に大きな瞳。
高い鼻。いつも微笑んでいるように見える口角の上がった口。
王子様か?!と言いたくもなる。いや。社のあだ名はすでに「王子」である。
そんな外見なくせに性格は明るく元気で、誰とでも明るく社交的。
はっきり言って、もてる。
モテまくる。
そんな彼に片想いをして、もう七年。
確実に拗らせてしまっている。
だって、モテモテイケメン王子とこうやって一緒に車に乗ってフットサル場に向かっているんだよ?
自分が特別なんじゃないかって思ってしまう。
好きにならないほうが、おかしいと思う。
とはいえ、健の「特別な存在」は私でないことは知っているのだけれど・・・。
そう思うと少し胸がチクリと痛み、そっと窓の外に目を向けるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます