第2話
子供が2歳の頃から、シングルマザーをして来た。もう20年近くになる。
そう言うと驚かれたり、「あっ、すみません」と何故か謝られたり、凄く苦労したのではないかと勝手に労われたりして来た。
それぞれ、思いやりの心から派生する行動かと思うので、まぁ、ありがたいのかな?程度に思って来た。
実際は、何故か運が良くて(主に経済的に)困るかも‥と思うと臨時収入が入ったり、自治体や国の制度がちょうど都合良く変わったりして、スルスルっと生きて来られた。
そして、子供はスクスクと育ってくれた。
そう言いながらも、人並みよりは少し多い努力は勿論して来た自負はあり、おかげでそこらの同年代のおじさん並に人生経験はあると思う。
自己紹介はまたおいおいするとして、
さて、53歳。
子供もあと数年したら巣立って行くだろう年齢である。
そこで、私は一旦生きている意味を見失った。というか、先が見えてしまった今後が、とてもつまらなく思えてしまったのだ。
まだ子供も巣立っていないのに空の巣(からのす)症候群を先取りして憂鬱になってみたり、道ゆくお年寄りを見て「ああ、私はあんな風に飄々と生活して行けるのだろうか」と考えたり。
そんなある日。
なんでもない仕事帰りの夕暮れに、それは起こった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。