4-4
「来い、“シェキナー”!」
〈アーヴィン〉が中庭を走りながらガトリングを
〈ロゴス〉は全力で屋上を
それと同時に、
――
時間差で放たれていたもう一発のミサイルが〈ロゴス〉の足元に落ちてくる――着弾。それは屋上と四階の一部をこっぱみじんに吹き飛ばし、校舎は
その時には、黒い天使は
空中を舞った〈ロゴス〉は、
――
天地を反転させたままシェキナーを引く。敵に
発射。
ぶん、と音をたてて、金色の
「……え!?」
芙蓉が驚きの声を上げる。なぜなら、〈アーヴィン〉がシェキナーを避けたからである。
〈アーヴィン〉は発射の直前に
――異常だ。ありえない。
〈
しかし、敵はそれをやった。着弾時の〈アーヴィン〉の位置は想定から約九十センチずれており、
たったの九十センチ。
それはあり得ない九十センチでもある。
シンプルに言ってしまえば、〈事象視覚〉とは
もし、芙蓉がいつ〈事象視覚〉を発動するのか、そのタイミングすら計算できるのなら。その直後に全く別の
しかし、ことはそう簡単ではない。
〈事象視覚〉は、
だから、九十センチ。
敵がどんなに
――次こそは当てる。
放物線を
それに構わずシェキナーを引く。
〈アーヴィン〉は
だが、また外した。
今のは敵の回避能力ではなく、芙蓉の集中力の低下によるミスだ。
敵が中に入った古びた体育館を見つめる。
いっそ、最大火力射撃で体育館ごと吹き飛ばそうか――そんなことを考えたが、
「だったら――」
〈ロゴス〉が駆けだして、特別棟校舎の屋上から
空中でシェキナーを引く。
床が
体育館の中は暗かった。〈ロゴス〉が破壊した天井から、スポットライトのように灰色の光が差し込んでいる。暗がりで
「……!」
――後ろだ。
敵は、当然のように最も気付かれにくい死角を取っていた。
〈ロゴス〉が振り向きざまにシェキナーを放つが、
〈アーヴィン〉が
「この……っ!」
まともにシェキナーを
芙蓉は自分の
「“
芙蓉が
〈ロゴス〉がシェキナーを投げ捨て、
〈アーヴィン〉が
フローリングがめきめきと悲鳴を上げた。M197
暗闇の体育館に、白い
〈ロゴス〉が光剣をやみくもに振り下ろした。それを
ゼロ
ついに、ガトリングの砲弾が黒い天使に直撃し、耳をつんざく
〈ロゴス〉が
「“
『!』
芙蓉が命じる。〈ロゴス〉の右肩がスライド展開し、小型グリップがせり出す。それを左手で
その行動により、敵の計算が
〈ロゴス〉がくるりと回転する。〈アーヴィン〉が持ち上げた三十ミリライフル砲が、発砲前にまっぷたつに
〈アーヴィン〉は右手のライフル砲を
『――!?』
〈アーヴィン〉が
水しぶきが見える。
敵は体育館の
「はあ、はあ――っ……」
〈ロゴス〉が走って体育館を
黒い天使が
壁に空いた大穴をくぐり、
〈アーヴィン〉の胴体は
――勝てる、そう確信した。
芙蓉が
敵に残された武器は、背部ラックにある
――終わらせる。
〈ロゴス〉が双剣を振りかぶる。そこに〈アーヴィン〉が
投げ技をかけられた――そう理解した時には、〈アーヴィン〉は後退してアサルトライフルを引き抜いている。
モスグリーンの機体が
「はぁ……、はぁ……っ」
〈ロゴス〉がプールの中で立ち上がり、一本になった剣を構える。
その正面のプールサイドで、〈アーヴィン〉がのろのろと立ち上がった。
頭部のガラスシールドは
そんな状態でも、アサルトライフルだけはしっかりと〈ロゴス〉を
二脚兵装が踏み出す。
地面を
「えっ」
予想外の出来事が起き、芙蓉が間の抜けた声を上げた。
〈アーヴィン〉が
ひしゃげた装甲の
「私のお……っ」
モスグリーンの機体がプールサイドを
「勝ちっ!! だぁ――っ!!!!」
理亜の大声とともに、〈アーヴィン〉が
芙蓉は
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます