3-5
「やーっと起きた~」
そう言った
「もー、死んじゃったのかと思ったよ! 血とか出てたし……まあすぐ
「あの後どうなったんですか?」
「え~?」
「とりあえず金色のやつが
「ください」
「どーぞ」
上体を起こしてペットボトルの水を飲んでいると、理亜がちらりと
「あのさー。それ、直して
「え? ……あ」
彼女の視線の先にあったのは、芙蓉の血まみれのYシャツとスラックスだった。Yシャツに関してはずたずたになっている。多分、
「ありがとうございます、何から何まで」
「ほんとだよっ。おっかなくて見てらんないぜ」
おさげの
「まあでも、助かったけどね。正直、あいつの性能は
理亜が
〈
「なにそれ?」
のろのろと立ち上がった理亜が、芙蓉に問いかけた。
「ロゴスの『
芙蓉が答えた。これは七彩からもらったマジックアイテムだ。これを通して、
「実は、気を失う直前に、七彩の顔を見た気がするんです」
「……まじで?」
芙蓉が言うと、理亜は彼の両肩をがっちりと押さえつけた。
「なんですか?」
「危ないから一人で戻っちゃだめだよ? ……って言ってもどうせ聞かないだろうし、今日は私の
「いや、それはさすがに……」
「な、なにがイヤなんだよー! 女子高生の家だぞー!」
「理亜さんの家って
「なんでそう思ったの!? 違うよ!」
理亜は
「でも、本当に大丈夫です。今すぐ戻って七彩を探したいけど、ロゴスも壊れてるし危険すぎる。理亜さんも、また
芙蓉が聞くと、理亜は申し訳なさそうに
「行くにしても、一日待ってほしいな。作戦は
「ロゴスの修復もちょうど一日かかりそうです。どのみち、明日まで待つしかない」
「……そうね、ちゃんと
そう言った理亜は、一安心したような表情を
「それはそれとして、うちくる?
期待に
「めんどくさそうなので
*****
夜の十二時。
電気を消して自宅のベッドに寝ころんでいた
この家には彼の両親と妹も住んでいるが、一時間ほど前に全員
再び、こんこん、と音がした。
しかし、
「――!?」
ドアをあけた
そこには、うすく
「こんばんは、
少女が静かに告げて、ふわりと笑う。
芙蓉は気を
――この少女は七彩ではない。
パーツは同じでも、表情や
「ご
七彩とそっくりの少女が小さく首を
「……どうぞ」
かろうじてその言葉をひねりだした芙蓉は、少女のために道をあける。
「ありがとうございます。では、失礼します」
少女は笑みを浮かべ、ひたひたと歩いて室内へ入っていく。明かりをつけていない部屋は真っ暗なのに、彼女のまわりだけは
後ろ手でドアを
どう声をかけたものか迷っていると、
「まずは自己紹介をさせてください。少し、
「
そう言うと、少女はきょとんとした表情で芙蓉を見返した。
「そうなんですか? では、改めて――わたしのことは、『ギメル』とお呼びください」
「……ギメル?」
「はい、天使ギメルです。よろしくお願いします、芙蓉さん」
少女はそう言って、優しげに
「ギメルって、今日僕が戦った、あのギメル?」
「その通りです。ですが、ここに来たのは芙蓉さんを制圧するためではありません」
「じゃあ何をしに?」
「あなたに興味が
微笑みを浮かべたギメルが芙蓉に問いかける。
その言葉の
「聞きたいことなら山ほどあるよ」
「ですよね。思ったとおりでした」
ギメルが
「例えば……なんでそんな
そうして出てきた質問は、我ながら本当にしょうもないものだった。
そんなことを聞いている場合ではないが、その服装はとにかく
「
首を
「……
ギメルはぱちくりと
「もっとお話していたいですが、こんな時間です。いろいろと準備をしていたら、芙蓉さんを
「いや! こんな時間でもぜんぜん大丈夫。今から話そう」
「だめです。
振り向いたギメルが芙蓉に微笑みかける。
そして、彼女は優しい
「明日、学校であなたを待っています。もしご迷惑でなければ、わたしのもとへ来ていただけませんか?」
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〈近況ノートにて機体やキャラの設定イラストを公開中です〉
・少女ギメル
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