あなたに包まれて

ダイダライオン

エピローグ

 私、石柄小羽はどうしようもなく自分が嫌いだ。

 なぜなら、二つ離れた兄に体をべたべた触られていた過去があるからだ。それがあってか、自分は穢れてる、嫌なことを断れもしない奴だと思うようになってしまったのだ。


 そんな私も今年で華の大学生。気持ち悪くて忘れたい過去もすっぱりきっぱり切り捨てて、頑張ろう、と、意気込んでいたところに彼女が現れたのだ。


「嘘、、でしょ、、?」


そう、私が高校の頃好きだった花和あかねちゃんだった。好きだった、本当に好きだったんだけど、彼女は兄と付き合っていたのだ。

 これ以上兄と運命を呪ったことはない。

全て忘れたくて、少し遠くの大学にやってきたというのに、なんで、、?どうして、、?


 逃げるようにその場から離れて、そこからはどうやって帰ったか覚えていない。


「はぁ、、、」


どうしよう、せっかく一から大学生活を始めようと思っていたのに、これじゃあ高校時代の二の舞になってしまう。

 もう、あんな惨めな思いはしたくない。


そんなこんなで考えていると、ふと、一つのアイディアが降りてきた。


「そうだ、!あの子と何事もなかったかのように振る舞って仲良くすれば、全て忘れられるかもしれない、!」


何事もなかったんだ、そう振る舞えば忘れられる。幸いなことに私は高校の頃好きだと本人には伝えていなかった。


「うん、これなら、、!」




 言っておくが、後に私はこの選択を後悔することになる。

まさか、あの子が、花和あかねちゃんが、あんな子だなんて?!



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