第2話:福ちゃんって呼んでも?。
「もちろん料金はかかります」
「タダなんて・・そんなこと世の中舐めてらっしゃいます、幸野さん」
「舐めるほどの勇気は持ち合わせてないですよ・・・」
「だ?あのさ、ひとつ聞いていい?」
「なんでしょう?」
「前から思ってたんだけどレンタル彼女とデリヘルとどう違うの?」
「デリヘルは風営法の届け出がないと営業できないんです・・・風俗ですから」
「レンタル彼女は風俗じゃありませんから・・・通常のサービス業です」
「私、風営法の届け出だしてませんから・・・」
「でも、君ってユートピアってところに所属してるんでしょ?」
「いいえ、私は個人営業なんです・・・レンタル嬢は私ひとりです」
「あ〜そうなんだ・・・君ひとりレンタルしてるの?」
「そうですよ・・・起業したばかりです」
「ひとりって・・・それじゃ忙しいでしょ?」
「そうでもないです・・・実を言うと最初のお客様が「
「そうなんだ・・・」
(そうなんだ、まだ他の男の手垢がついてないんだ)
(こんな言い方おかしいけど、中古じゃなくて新品なんだ)
「あ、デリヘルの性的サービスはどこまでかは知りませんけど、私、エッチは
しませんから、そのつもりでお願いします」
「期待なさってもダメですよ」
「まあ、それはいいです」
「じゃ〜エッチなしとしてレンタル彼女って、なにしてくれるんですか?」
「そうですね、基本的にはおうちの中で一緒の時間を共有できます、お望みなら
デートなんかもできちゃいます」
「おうちの中なら一緒にテレビ見たり、お食事したり、おしゃべりしたりとか」
「あのキスはダメですけど、ハグくらいならオッケーです」
「おお、いいですね・・・だけど、そういうの料金べらぼうに高いんでしょ?」
「コースによります」
「ちなみに二時間で20,000円〜25,000円程度・・・それが基本料金です。
さらにラブラブ擬似デートになるオプション料金がプラス約5000円で飲食代や
イベント、施設利用料は、お客様ご負担・・・そんな感じです」
「それからお泊まりとかはしませんからね」
「そうなんだ・・・つまんねえ・・・あああ、違います」
「でも二時間なんてあっという間じゃないですか・・・ぼったくりですよ」
「お断りいただいてもけっこうですけどキャンセル料ガバっとかかります」
「うそ〜頼んだ覚えないのに?」
「もう登録なさってますよ、ちゃんと私を選んでくださってます」
「まあ、たしかに君は僕のタイプだし来てくれたら楽しいだろうなって
思いますけど・・・いや、楽しいどころかきっと二時間の間に撃沈しちゃう
と思うな」
「そんなパンツが見えそうなミニスカートで部屋をうろうろされたら
僕の照準はそこだけに集中するからやっぱり撃沈ですよ」
「でも断るとキャンセル料が発生するって抜き差しならない状況ですよね」
「で、これって今日だけですか?」
「そんなことありませんよ・・・呼んでいただいて時間さえ合えばいつでも
お伺いします」
(そうなんだ・・・待てよ、これって使えるかも・・・)
(この子を彼女だって連れ回したら、みんなの前で優越感に浸れる)
(こんなにアイドルみたいに可愛い子なんだからさ)
そんな姑息なことを考える僕。
「分かりました・・・じゃ〜20,000払いますから・・・僕の彼女でお願いします」
「かしこまりました・・・あ、料金は先払いになってますので」
で、僕はバイトで稼いだ貴重な生活費から20000円彼女に払った。
(なんか知らないけど、僕は酒に酔っていてかレンタル彼女さんのサイトへ
行って、この子をポチってしたらしい・・・)
まあ、酔ってるとは言え僕がポチってしたくらいだから間違いなくこの子は
可愛いわけで間違いなく僕のドンピシャのタイプ。
ビジュアル抜群・・・髪は僕の好みどおりロング。
しかも顔がちっちぇ〜・・・そら豆かと思った・・・ま、ピーマンくらいに
しとこう。
「今から二時間、私、幸野さんの彼女だから、よろしくね」
彼女は玄関でペコッとお辞儀した。
「さっそくだけど、お部屋に上がっても?」
「あ、ずっと玄関だったですね、ごめんなさい」
「じゃ〜そういうことで、よろしくです・・・え〜と
「お邪魔しますぅ」
「これから福ちゃんって呼んでもいい?」
「どうぞ、好きなように〜」
「お金払うと一気にタメになるんですね」
「そんなことないよ」
「あ、あくまでレンタル彼女だからね、まじな彼女とか恋人とかって思い込んで
公私混同してその気にならないでね」
「そうなっちゃったら対応できなくなるからね・・・」
(・・・わ、悪いけど僕はすでに君に惚れちゃってるんだけど・・・)
僕は日頃から彼女が欲しいなんて思ってたし、レンタル彼女のことが意識にあった
から瑠衣ちゃんをついポチってやっちゃったんだろうな、きっとそうだよ。
酒って怖いな〜。
まあ、いいか・・・一人も、もうイヤだし・・・。
瑠衣ちゃんがそばにいるってだけで僕のテンション爆上がりだもんな。
このさい偽物の彼女でもいいや。
つづく。
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