いっそレンタル彼女。*レンタルした覚えありません*

猫野 尻尾

第1話:アパートを訪ねてきた女の子。

僕の名前は「幸野 福志こうの ふくし」22歳・・・某大学に通う学生。

普段、遊びに行ったり酒を飲みに行ったりする友人は数人いる。

だけど肝心の彼女がいない。


以前、この子って女子がいて思い切って告ったけど、みごとにごめんなさい

だった。

それからはフラれるのが嫌で一度も女子に告ったことはない・・・。


そんなだから女っ気なしのまま一年以内に干からびてしまいそう。

おちんちんだって、ひとりでする時だけしか使ってない。

できたらピチピチで可愛い女の子をあてがってやりたい。


そんなに彼女が欲しいなら、擬似的にだけど自宅訪問してくれるレンタル

彼女って代行サービスがあるから、それ頼めばいいじゃんって同僚の伊藤君が

レンタル彼女代行サービルのサイトを教えてくれた。


最近できたばかりらしく伊藤君が言うには最近できた代行だから女の子も

素人同然で新鮮だからいいんじゃねって・・・。


僕でもレンタル彼女ってのが世間にあるのは知ってはいたけど、女の子を

レンタルするなんて思いつきもしなかった。

デリヘル嬢ってのも聞いたことあるけど、レンタル彼女とデリヘルってどこが

どう違うんだろう。

どっちも女の子が家に来てくれるわけだろ?


せっかく伊藤君が代行サービスのサイトを教えてくれたんだから、いっそ彼女を

レンタルしようかと考えたけど、人見知りで小心者の僕はその勇気が出なかった。


レンタル彼女のことを頭の隅にしまったまま金曜日の夜、所属してる大学の

写真部の連中から飲み会に誘われた。


いい気分で酒を飲んで、へべれけになってどうやってアパートに帰って来たのかも

覚えていないくらい泥酔して、そのまま風呂にも入らず寝てしまっていた。

明くる朝、昨夜の酒が残っていて這うようにして起きた。

何もやる気なしで朝飯も食わずボ〜ッとしていたら・・・。


僕のアパートのドアホンを鳴らすやつがいた。

誰だよ・・・出るのも面倒くさい。

放っておいたら諦めて帰るだろうと思ってたら、しつこくドアホンを鳴らすから

しかたなくドアを開けた。


そしたらそこに一人の女子が立っていた。


歳の頃なら20前後か・・・その子を一目見て僕は自分のタイプだって思った。

めちゃ可愛いいし・・・そりゃそうなんだ、実はタイプなはずなんだよ。

僕が自分で選んだんだから・・・。

でも会ったこともないし知らない女の子。


「え?生命保険?・・・それとも宗教かなんかの勧誘?」


幸野 福志こうの ふくし」さんで、いらっしゃいます?」


「そうですけど・・・朝からなんでしょう?・・・」

「いきなり玄関に花が咲いたみたいだし、いい匂いはするしで、ちょっと

ドキドキしてるんですけど・・・」


「私、レンタル彼女代行サービス・ユートピアってところから来ました。


五十嵐 瑠衣いがらし るいって言います。


「る、るいちゃん?・・・れんたるかのじょ?・・・ゆ〜とぴあ?・・・」


「はい、レンタル彼女です」

「幸野さん、レンタル彼女代行サービス・ユートピアの会員さんになりましたよね」


「会員?・・・知りませんけど・・・」


「たしかにうちの会員さんになってらっしゃいますけども」


「だから知らないって・・・それいつですか?」


「昨夜、遅く・・・私をレンタルなさってます」

「今日の午前10時にお願いしますと言うご依頼でしたのでお伺いしました」


「昨夜?・・・昨夜なんてレンタル彼女頼んだ覚えないですけど」


「私をレンタルなさいませんでした?」


「はあ、なさいませんでしたと思いますけど・・・」


「幸野さん、独身でらっしゃいますよね・・・彼女さんが欲しくて私をレンタル

なさったんじゃないですか?」


「そりゃま、たしかに寂しい毎日過ごしてますし彼女は欲しいって思って

ましたけど・・・」

「あ、あ、あ・・・も、もしかして昨夜、酒によってバカになってたから、

もしかしたら君のそのレンタル代行さんのサイトにアクセスして君をポチッと

したかも・・・」

「それならつじつまが合うな?」

「なに?・・・それで、わざわざ僕んちまで訪ねて来たんですか?」


「はい」


「あの、それってキャンセルとかはできないんですか?」


「キャンセルできますけど、キャンセル料ガバッとかかります」


「まじで?」


「すでにレンタル契約成立してますから・・・」

「お望みだったんでしょ?・・・私が幸野さんの彼女になること」


「まあ、せっかく来たんだし無下に追い返すわけにはいきませんけど」

「もしお願いするとしてもタダで彼女さんになってくれるわけじゃない

ですよね?」


「もちろん料金はかかります」

「タダなんて・・そんなこと世の中舐めてらっしゃいます、幸野さん」


「舐めるほどの勇気は持ち合わせてないですよ・・・」


つづく。



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