12月13日 銀刺繍の腰帯

 最後に、もう一軒寄ってから宿へ帰りましょう。集落一の刺繍工房です。


 シンプルな花柄から絵画のように凝った緻密な絵柄、立体的になっているものなど、色とりどりの作品で埋め尽くされていますが、お土産にするなら伝統的な幾何学模様がおすすめです。


 黒に近い焦茶色の生地に銀糸で複雑な幾何学模様が刺繍された帯とマントは、この区域の伝統衣装です。ほら、風車に施されているレリーフの図柄とよく似ているでしょう。銀色の刺繍ではありますが、ここは夕日の美しい区域ですから、外を歩けば鮮やかな金色に光ります。


 どこの区域を歩くかで表情が大きく変わって見えるのも、この刺繍の魅力のひとつですね。


 マントも良いですが、他にもいろいろ買うんでしょう? 少々嵩張る上に、通気性がよすぎて秋冬区域の防寒具にはなりませんから、よほど気に入ったのでなければ帯の方をおすすめします。季節関係なく楽しめますし、幅広の布を折りたたんで使うタイプなので、広げれば薄手のマフラーやショールにもなりますよ。


 さて、刺繍工房を見終わったら、宿へ向かいましょう。そろそろ夕食ができるころです。スパイスの効いた肉料理も魅力的ですが、「樹上」集落だけあって果物のデザートも格別。じっくり楽しんだら、明日は次の区域に移動です。

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