すっとけしげに今日とてつらつら
二革 圭(ふたかわ けい)
すっとけしげに今日とてつらつら
明くる日来るとき見つる陽またかと俯けどまた見ども口元シュッと力入れども、動けどもまとわりつく糸を、手でほどき体ゆらしてゆすってパラリと落ちゆく糸はまたどこかで会う何かへ言伝(ことづて)頼む、そう言ってそう行く歩みは呼吸となって一秒毎(いちびょうごと)に景色色付き血潮引いて、またもや満ちるその時までの穏やかな日常はつまらないけどそれもいい。
聴くと必ず返ってくる何やら音する落とす偶然からの送り物。かがんで拾って手にとってモミモミ。もみの木カエデいたずらに微笑み兆す寒さうつけて恥じらいに、またひらりと落つ葉に連れて気にすることなく葉は手から放たれていった。一瞬だけの世離れ浮時(うつつとき)。葉も流れ日常に戻り傍らに立つ木々がひそり静かにその背中に声援送る。たとい時代が変われども一時(いっとき)も静けさは隣に佇み、いつもいつも見回る回る流るる水緑、池の波紋は気付かれずとも求めなくともいつも同じ(おんなじ)風に、水滴る露を受けて満遍(まんべん)なく広がっていく。
すっとけしげに今日とてつらつら 二革 圭(ふたかわ けい) @urmatorakichi55
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