第40話 目隠し羞恥プレイ
いやズルくない?
俺はベッドに腰かけてVRChatを楽しむ猫耳美少女を見ながら思う。
別に俺のメタフォーカスを使って楽しんでいるのがズルいと言っている訳ではない。自分だけこっそりバレないように(バレてるけど)俺の経験値を使って愉しくて気持ちいコトしているのがズルいと思っている訳でである。
「あいにゃんは基本ソロだよー。隠密ってパーティにあんまり役にたたにゃいんだよにゃー。仲間が攻撃されてるのに、自分だけ隠れてるなんて
そして俺は思うのだ。勝手にこっそり経験値を搾取されているのならば、開き直っちゃえばよくない? と。だって俺は悪いことしてないし、むしろ悪いのは愛七だし。俺だけ我慢するなんて不公平だし。
「最近はレベルもあがって来たから、もうちょっと下の階層まで行こうかにゃーって思ってるにゃ。そうすればダンジョン配信も視聴者増えるかにゃーなんて。目的? ちょっと子供っぽい目的にゃんだけど、欲しいアーティファクトがあるのにゃ。
大体、あんな求めるような表情でよがって変な声を出す愛七がいけないんだ。ばれてないと思って、反撃されないと思って、好き放題やっている愛七がいけないんだ。
よし、理論武装終わり。いたずら開始。
VRヘッドギアを被り、ベッドに座って身振り手振りをしながら楽しくおしゃべりをしている愛七の腕に手を伸ばす。
「んー。危ないこともにゃいことはにゃいけど、ちゃんと注意して、どんな敵がいるかちゃんと下調べしてれば、結構何とかなりゅうううぅぅぅぅぅぅ♡♡♡♡♡♡♡」
チョンとその腕に少しだけ触った瞬間に、愛七の身体が大きく跳ねた。
「んんんんんんっ♡♡♡♡♡♡…………ふ、ふー………ぁ、ううん何でもにゃい何でもにゃい! か、カーテンが風で膨らんで、首筋に当たってびっくりしただけにゃ!」
おぉ、うまくごまかした。流石はチャンネル登録者数50万人を超える有名動画配信者だ。頭の回転は速いのだろう。
「あ、あとはやっぱり
気を取り直してVRChatを続行する愛七。しかし、その体に力が入っているのが良くわかる。俺からの攻撃に備えているのだろう。
(ふふふ、ここであえてじらす作戦っと)
「
いつ来るかいつ来るかと身構える愛七を放置し、俺はスマホを弄る。愛七の切り抜き動画を一つ見終わった後、再び愛七に手を伸ばす。
「もー各ゲー配信はこりごりだにゃー……。めっちゃ煽られてコントローラ投げちゃったし……。この前はわざわざ朝からコントローラ買いに行ったんだからにゃ!」
どうやらダンジョンの話題は終わったようで、今度は動画配信の話題の様だ。全く来ない俺からの攻撃に気を抜いているのか、普通におしゃべりをしているように見える。
その油断を見逃さずにチョンと愛七の手に触れる。
「最近メタフォースを使って、にゃんにゃんパラダイちゅっ♡ ……をやってるにゃ。仲間猫が多くて楽しいのにゃー」
「お、耐えた」
すこし言葉を噛んだくらいで、その後すぐに元に戻った。
「こうなってくると、意地悪したくなっちゃいますねぇ」
耐える愛七の姿に俺の中のSな部分がむくりと鎌首をもたげた。指先でほんの少し愛七に触れる。今度はすぐには離さない。
「ぉ♡……あいにゃの部屋はそんなに広くにゃいからにゃぁ♡ あんまり激しいアクションゲームはやりたくにゃいにゃ。……ほぉ♡ ゴホン! みんなのおすすめのVRゲームがあったら……教えて欲しいにゃぁ♡♡」
「やっべ。楽しい」
身体に流れる快感に耐えながら、必死に平常心を保ってチャットを続ける愛七。ときどき言葉が少し乱れるところがなおさらに良い。
「へー♡ そんなゲームがあるんにゃー♡ あいにゃんはぁ♡ 釣りはしたことにゃいけどぉ♡ ちょっとだけそのゲームやってみたいにゃぁ♡ 今度ぉ♡ 探してインストールしてみるにゃはぁ♡」
快感をうまく逃がしながら、しかしどうしても艶やかになってしまう声で愛七は続ける。
「へっ? にゃ、にゃにもないにゃぁ♡ ちょ、ちょっと風邪気味かもしれにゃいにゃ♡ えほっ♡ えほっ♡ じゃ、じゃあ今日はこれくらいで落ちるにゃ、また今度にゃぁ~~♡」
おっと。どうやらもうVRChatを終わるようだ。
愛七はぷるぷると震えながらゲームを操作し、無事にログアウトした。
「んんんんんっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
ゲームを終え、しかしヘッドギアは外さないまましばらく震える愛七。三分ほど経ってようやくヘッドギアを外した。
「お疲れー。楽しかった?」
怒られるんだろうなーとは思いながら、何気ない顔で愛七に話しかけると、愛七は赤く染まった顔で、しかし挑発するような目でこちらを見て口を開いた。
「あー、楽しかったー! ごめんね、楽しすぎて集中しちゃって達にいがいることすっかり忘れちゃってた! しばらくハマっちゃうかも、VRChat! あ、ちょっとお手洗いに行って来るー」
意外なことに、愛七は何も言わなかった。何も気が付かなかったかのように。絶対に分かっているはずなのに。しかも俺を挑発するような、まるで俺からのいたずらを待ち望んでいるかのような態度。
「……ふふふ、お前の思い通りに行くと思うなよ」
俺を挑発したこと、後悔させてやるぜ。
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