インゼロニウム

這吹万理

第1話 エピゴノイ

青光暦1290年。


農村の少年が剣術道場で年上の兄弟子たちからイジメられていた。


いつも笑っていて気味が悪い、と。


少年は笑いながらそれに耐えていた。

ふと、身痒さを感じた。身を捩った。それと同タイミングで、木剣が身体にぶつかった。


──キィィ……ィィ……ンンン……。


視界が赤に染まり、全てがスロー再生になった。




【赤色領域】

 古代ではパリィとも呼ばれていた身体に加わる衝撃と回避行動がベストタイミングで重なった瞬間に現れる一面赤に包み込む赤の領域。赤色領域内で自由に動けるのは発動者のみである。




青光暦1929年。


南の鉱山村で村民が殺し合いを起こした。


どうやら近くの川で旅人が溺れ死に、流れ着いたその死体を巡って言い争いが起こり、疑心暗鬼に陥ったのだ。


生き残ったのは、16歳の少年。


殺されそうになっているところを、ひとりの青年に救われたらしい。

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