paradise

慈雨

第1話 陽のオーラ

私の心の中に、埋没している闇は、時おり、私をおどかし、

チップを要求してくる。

そのチップ分の幸せを食いながら、私は生きている。

そう言わずとして、なんと言えよう。


毎晩、仕事でクタクタになって帰って来て、スコッチをのみ、

酔いながら、私をさんざん蹴ってくる父親。

母親は、香水と唾液にまみれた服で、私を抱きしめてくるが、そのなんとも気持ちが悪い事!虫唾が走る!


こんな、狂った親に育てられて、まともな大人が出来るはずはない。

私は、登校拒否で、自室から、なるべく外へ出ないようにして、暮らしていたし、

姉は、バツイチで、子持ちなくせに、男を追いかけて、東京へ行ってしまった。

なんて恥さらし!!

私は、そんな姉の事も大嫌いだった。


中二で覚えた、煙草と酒は、たしなみどころじゃない量だったし、

もちろんと言っちゃなんだけど、処女もとっくに捨てていた。


やっと働きだした、アルバイト先のファミレスでは、不倫が横行していたし、私も、

かつては、既婚者と深い仲にあった。


私は、世間というものにも、自分を含めた人間というものにも、失望していた。

もう、やけっぱちになっていた。

狂うなら狂いつくすまでと。


そんな中、優と出会った。

優は、私の仕事先、ファミレスでの後輩で、入って来た時から、オーラが違った。

他のメンバーとは、正反対の、陽のオーラが、優にはあった。

だけど、その頃、私はファミレスの同期と付き合っていたし、優と付き合うとかは、考えられなかった。


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