paradise
慈雨
第1話 陽のオーラ
私の心の中に、埋没している闇は、時おり、私をおどかし、
チップを要求してくる。
そのチップ分の幸せを食いながら、私は生きている。
そう言わずとして、なんと言えよう。
毎晩、仕事でクタクタになって帰って来て、スコッチをのみ、
酔いながら、私をさんざん蹴ってくる父親。
母親は、香水と唾液にまみれた服で、私を抱きしめてくるが、そのなんとも気持ちが悪い事!虫唾が走る!
こんな、狂った親に育てられて、まともな大人が出来るはずはない。
私は、登校拒否で、自室から、なるべく外へ出ないようにして、暮らしていたし、
姉は、バツイチで、子持ちなくせに、男を追いかけて、東京へ行ってしまった。
なんて恥さらし!!
私は、そんな姉の事も大嫌いだった。
中二で覚えた、煙草と酒は、たしなみどころじゃない量だったし、
もちろんと言っちゃなんだけど、処女もとっくに捨てていた。
やっと働きだした、アルバイト先のファミレスでは、不倫が横行していたし、私も、
かつては、既婚者と深い仲にあった。
私は、世間というものにも、自分を含めた人間というものにも、失望していた。
もう、やけっぱちになっていた。
狂うなら狂いつくすまでと。
そんな中、優と出会った。
優は、私の仕事先、ファミレスでの後輩で、入って来た時から、オーラが違った。
他のメンバーとは、正反対の、陽のオーラが、優にはあった。
だけど、その頃、私はファミレスの同期と付き合っていたし、優と付き合うとかは、考えられなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます