.

「…───で?


結局純はただその子に、なーんも手ぇ出さなかったってワケ?」




「…まぁ。」




「───バカぁぁぁ!


そこでちょっと抱き締めるとかしたら、傷心したアヤヤと距離が縮まるってもんでしょぉっ!純のバカぁ!」




「お前に言われたくないわボケ猿。」




「何でだよぉっ!!!」






────…翌日。




晩飯時に何故か当たり前のように俺の家にいるメンバーから、これでもかってくらい批難の嵐が飛び交っていた。





「…───だってほらっ!


オレが純だったら、こーやってソーッと近付いてぇ…」




「───それ以上あたしに近寄んな猿。


そんままちょっとでも動いたりしたら殴る。」




「えぇっ!?!?」





「……っつーか俺、壱にだけは恋の手ほどき教わりたない。」




「あ、それあたしもすっげー同感。」




「何でぇっ!?!?」





マリアと頷きながら同感を求めるも、壱は超不服そうで。







…───カチャッ





「───ただいま~」





「あっゴローちゃんっ!」




何だかんだしてるうちに吾郎が俺の家に帰宅して、何故かただいまの挨拶をして上がってくる。





「吾郎……ただいまってここ俺ん家やし……」





「え?何だ今さら。


それよか今日バイトでイタリアン作る練習してさ。


作りすぎて余ったから持って帰って来たけど食う?」




「───わー!!!!

さっすがゴローちゃん!

オレ超お腹減ってたとこなんだよねぇ!!」




「ほーんと。ナーイス吾郎♪あたしの酒と煙草は買ってきた~?」




「あるよ。はい。」





「…お前ら俺抜きで盛り上がってるけどさ。


帰る気全くないやろ。」





「「「なーい♪」」」





「・・・・・」






…まぁ、これが俺らの普通。




家族に近いっつーか、何つーか。




一人一人家庭事情が複雑な俺らにとって、それぞれ居心地のいい場所なのは確かだ。

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