.

────ドキッ…





いつも、そう。




頭では毎日君の笑顔を浮かべているはずなのに、こうして面と向かって会うといつも胸が浮く。




久しぶりに見た君は、どこかまた俺の知らない表情で。




一つ進学して、高3。




出会った頃から三年が経って、またグッと大人っぽくなった気がする。




彩はどこか悩まし気な表情で、俺に気付いてる様子もなく……






「───…彩」





背後から声を掛けても、心ここにあらず。





「……はぁ……」





溜め息一つ付いて、肩を落とすから






「───彩!」




「えっ?!?!」





さっきより声を張って呼び止めると、彩はパッと後ろを振り向いた。





─────…





振り向いた瞬間、時が止まったかのように息が詰まる。




振り向かれただけで。



目が合うだけで。




嬉しい気持ちを隠すなんて余裕、申し訳ないけど全然ない。






「──どないしたん?



……何や暗いやん。」






久しぶりに話し掛けるから、声も上擦る。




らしくないけど、嬉しさと恥ずかしさで顔が火照っていく俺がいる。






「───あ、朝岡さ───……っ!?!?」





やっぱり全く俺の存在に気付いていなかったらしい。




そんな若干パニック状態の彩を見て、俺はくすくすと笑ってしまった。





「──…まだ大学春休みからさ、今日はこっち帰って来てん♪」




「……そっそうなんだ……」





…──なんて。




本当は会いたい一心で帰ってきたんやで、とかサラッと言えたらいいんやけど。





……まぁ。




俺の現在地点なんてこんなもん。




もっと近付きたいんやったら、まっだまだ頑張らなあかんなって思う。

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