.

「……えぇ~…?」




嵐のような電話に、しばし茫然。



なかなか状況把握するにも難しい。



強引にも程があるやろ、オイ。



っつかさすがチヒロ譲りの押しの強さ……




───…って感心してる場合か!!





「…純?」





……まぁ、いいか。




仲間がポカンとしてる様子をよそに、スッとその場から立ち上がる。






━━━━━…バサッ!





完全防備のニット帽とマフラー、ジャケットを脱ぎ捨てて。





「ちょっと純どこ行くのぉっ!?!?」





壱達の心配そうな様子にも目をくれず。






「───ちょ~っと用事♪」






────…ヒラヒラ。





舞い散る桜吹雪の中、背中を向けて歩き出す。





「───会ってくれへんなら、自分から会いに行けってか。」




さっきまでヘコたれてた病人の俺はどこへ行ったのか。





「……じゃあな~♪」





完全にいつもの調子に戻った俺は、ヒラヒラと手を振って歩き始めていた。





───…誰でもない。




君に、会いに行く為に。

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