『モン・スター』
やましん(テンパー)
『モン・スター』
モンは、いまや、スターであります。
なんたって、スターなわけなのです。
🌠
モンは、高度に進化した知的ハダカデバネズミであります。
非常に高い知能を有していて、さらに、独自の高度な工事能力がありました。
少々の土木工事ならば、機械を使わなくても素手で可能でなのです。
人類亡きあと、地球に君臨したのは、まさしく、ハダカデバネズミ属でありました。
その未来は、果てしないように思えたのです。
ただし、知的ハダカデバネズミ属にも、弱点は、ありました。
社会性が強くて、独裁者である女王が認めなければ、なにもできないことであります。
しかし、むかし人類が造ったある映画にでてくるサイボーグよりは、遥かに柔軟な活動が可能でありました。
さらに、もちろん、個体差があるわけですね。
モンは、仲間外れハダカデバでありました。
だから、モンは、女王の比護にはほとんど預かれないのですが、その分、自由に行動ができるのです。
中世のあぶれ学者、みたいなものでありますな。
ファウストどのは、そこから出現したとも言われます。
つまりは、組織には組み込まれていない場所から、スターが稀に、生まれるのですよ。
あなたも、そうかもしれないです。
しかし、モンは控えめでした。
『いつの日にか、多少は良いこともあるかもしれない。』
くらいに考えていました。あまり、出世は望めないしなあ。と。
さてと、この、広大な地球砂漠の下には、古代人類の都市の遺跡があるといわれておりました。
しかし、その正確な座標は分からず、適当に発掘をやるにはあまりにも広すぎるため、また、女王にはその気が全くないため、もちろん、発掘は行われていないのです。
『遺跡調査? それより、ひたすら生産に励みなさい。古代人類を越えるのですよ。なにがあっても。』
モンは、郊外のアパートで、アルバイト暮らしをしていました。
小さいスーパーの店員さんをしていたのです。
国境の町であり、むかしから、なかなか 賑やかだったのですが、このところは、うまく行かないのでした。
だから、モンの賃金は、あまり良くはないのです。
意地悪なお客さまもあるし、出身階層が低いからと、いじめられたりもしました。実際に、最近オーナーはいつも不機嫌な訳です。
もともとは、お客さまは、ハダカデバだけではなくて、国境が近いため、知的ミーアキャットもたくさん来ていたのであります。
しかし、ここ3年ばかり、ハダカデバネズミとミーアキャットは、戦争状態になっていたのです。
それで、モンには、ミーアキャットの友人がいました。
チャビです。
チャビは、国境を挟んだ商売人に使われていました。
ミーアキャットも、一部の強者が支配する社会だったのですが、文明の進歩により、さらに複雑な社会階層ができてきていました。
チャビも、有力士族ではなくて、その他多数でありました。
モンとチャビは、やたら気があったからか、種族は違っても、仲良しだったわけなのです。
しかし、あるひ、チャビに召集令状がきて、軍隊に入れられました。
国境は閉まってしまいました。
モンは、寂しく過ごしていましたし、お客もますます少なくなり、オーナーはますますイライラしだしたのです。
そんなとき、モンにも、召集が掛かったのです。
はずれハダカデバネズミのモンは、戦争なんか行きたくなかったわけです。
『生きて帰れば、出世できるぞ。』
と、オーナーは、やたら発破をかけてきました。
『それに、行かなかったら、どうせ、軍が連れに来るしな。逮捕、連行される。』
モンは、悶絶しました。
しかし、道はもうありません。
そこで、モンは、ある晩、ひっそりとアパートを去り、砂漠の、ある地点を目指したのです。
以前モンは、そこで不思議なものを見付けていました。
何かの金属の頭であるらしいのです。
それは、たぶん、遥かな地下まで延びているらしかったのです。
それで、モンは、壮絶な穴堀を始めたのであります。
掘って掘って、掘って、掘って掘って掘って、また、掘ったのです。
それは、さすがの、ハダカデバネズミ属でも、かなり際立つほどに、掘ったのです。
どれだけ掘ったのか、分からなくなったわけですが、モンは、やがて、ついに、ずぼん、と壁を突き破ったのでした。
そこには、思いもかけない広い空間があったのです。
『あれまあ。ほんとに、地下都市があったのかあ!』
もちろん、真っ暗なわけですが、ハダカデバネズミ属は、視力に頼らなくても、暗がりにもわりに強いわけです。一種の超能力です。
ばば〰️〰️〰️〰️〰️〰️ん
🏙️
『町だ、町だ、町だあ。』
モンは叫んだのでした✨
それは、明らかに、大きな町だったのです。
『信じがたい光景だ。大発見だあ。』
ところが、たちどころに、喜んでは居られなくなりました。
なにやら、目の前に、大きな影が現れたのです。
さすがに、細かいところまでは分からないのですが、かなりでかい。それが、こう、叫んだのです。
『やあやあ。あなたさまは、偉大なるハダカデバネズミさまではありませんか。ついに、この時がきた。みな、みたまえ、我らの古き予言は正しかったのだ。ついに、人類の救世主が来た。時は成就した。』
『わー❗』
歓声があがったのですが、その姿は、よく、分からないのです。
かなり、下の方から聴こえたようでした。
『おお、偉大なるハダカデバネズミさまよ。わたしは、人類の代表、ブラームシであります。我ら人類は、奮励努力はしましたが、どうしても地上における戦争をやめることができず、ついには、大部分が絶滅いたしましたが、一部の種族は、特殊な科学により、偉大なるハダカデバネズミさまの長寿な特徴を取り入れて新しい世代を作り出し、地下に逃れました。そうして、戦争を廃止し、こうして、細々とではありまするが、生き延びてきたのであります。もし、罪が許されるときが来たら、偉大なるハダカデバネズミさまが現れ、我らを地上に向かえてくださるとの予言がありました。ついに、その時がやってきたのです。みな、歓呼せよ。迎えは来た。』
『おわ〰️〰️〰️。』
ぱぱぱぱぱぱぱ、ぱぱぱぱぱあ〰️〰️〰️〰️〰️〰️ん❗
パパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパーン❗
パパパパパパパパパパパパパパパパパパパぱぱぱぱぱぱパパパパパパーン🎵
きらびやかなファンファーレが響き渡り、まばゆいばかりのライトが一斉に灯り、ついに、スポットライトが踊り出しました。
『わ、まぶしい。明るすぎる。』
モンは、思わず小さな目を隠しました。
それから、しばらくしてから、指の間から、そっと覗き始めたのであります。
『うわあ〰️〰️〰️。』
モンは、高い台に立っていました。
前方には、大きな毛むくじゃらの真っ黒な生き物がいました。
それが、ブラームシさんです。
つまり、想像の古代人間と、ハダカデバネズミ属を融合して、なにかを足したたような、恐るべき姿でした。
そうして、足元には、想像を絶するくらいの数の、その生き物たちが、わんさかといました。
中央には、遥かに高い塔が天まで届けと、聳えていました。
『わあ、モンスターだあ。』
モンは、叫びました。
🗼
おしまい
🐥🐥🐥🐥🐥🐤🐤🐤🐤🐤🐔🐔🐔🐔🐔🐨🐨🐨🐨🐨🐨🐼🐵🐵🐵🐼🐻🐻🐻🐻🐻🐶🐶🐶🐶🐹🐱🐱🐱🐱🐱 👋😃
ぽ
『モン・スター』 やましん(テンパー) @yamashin-2
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます