インキュパスから美少女を守るんだ!〜ハーレム築きたかったのに魔王がインキュパスで美少女が絶滅危惧種

道楽byまちゃかり

第1話 異世界行きの魔法陣作ってみた

 古代遺跡から異世界の魔導書を発見したその時から、俺は密かに準備を始めていた。


 全ては異世界美少女ハーレムするために。


 魅力的な男になるためにたくさん鍛えた。毎日毒蛇に腕を噛ませて毒耐性や麻痺耐性を獲得したり、合気道にも通った。


 それとモテるための本を読み漁り、整形を繰り返して顔も変えた。心身共に力をつけた。


「あとは、魔法陣を描いて発動さえすれば……」


 一通りの手順を踏んで書いた魔法陣が白く光る。成功だろうか。もし失敗したら今までの努力が水の泡と化す。


「頼みます、成功してください」


 すると魔法陣から虹色輝く物体が姿を露わにした。


「凄い、本当に魔法存在してたんだ! 成功と言って過言じゃあないだろう! 退屈な毎日にさようならを! 新たな世界にこんにちはを!」


 俺は予め用意していた荷物を確認し、そして物体に触れた。


 その刹那、空間が歪む感触と共に俺の視界は暗転した。



         ◇



「痛てて……なんだこの見たことない木は、動物は、昆虫はぁぁぁ!? いや、異世界だぁぁぁ! 成功だぁぁぁ!」


 神よ、この奇跡を授けていただき感謝します。異世界に来たばっかりだけど一杯やっとこうか!『祝杯に飲もうよエタノール!』


 感無量とはまさにこのことである。泥酔しながら俺はダブルピースをしながら特大の屁をかました。


 ありゃ、思いの外音がデカい屁が出たわ。その数秒後、一人の少女が茂みから飛び出してきた。


「そこの異世界人みたいな服装の人、助けてください!」


 なんだ、原住民か? ていうかなんで俺、異世界言語理解できてるのだろう。細かいことは気にするな的な感じだろうか?


 少女が飛び出した後からいかにも悪魔みたいな風貌なやつが出没。これは、ありきたりな展開。


 なんか都合よく美少女が悪魔に襲われてるじゃあないか。事情は後で聞くとしてまずは、悪魔に飛び蹴り顔面にかますか。



         ◇



 不意打ち飛び蹴りに怒り狂ったのか、悪魔が俺に迫ってくる。俺は冷静に悪魔の手首を掴んで投げ飛ばした。


 小手返し。人間の骨格を利用した合気道の技だが、まさか悪魔相手にも効くとは。


「よし、逃げるぞ! そこの少女走れるか!」


「えっ、はっはい!」



         ◇



「助けて頂き感謝します。危うく私もインキュパスの餌食になる所でした……」


 インキュパス?


 サキュパスの類義語。サキュパスは男性を狙うに対して、インキュパスは女性を狙う悪魔だ。


「私はエリス。王様の御庭番に所属してます。単刀直入に聞きますね。君は、転移者ですか?」


「えっ? 一応。チートスキルとは貰ってないけどね」


「是非、王様に謁見してほしいのです。一目見て分かりました。あなたは強い。極め付けに転移者なら勇者の素質充分にあります」


 なるほどね。異世界ライフらしくなってきたな! 俺は迷いなく快諾した。

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