第35話

「いただきます!



モグモグ…




うまっ!!やばい!」


「大げさです。笑」


「…」


「…えっと」


「笑った方がいいよ」


「え?」


「笑顔、素敵だと思う」


「…ありがとございます」



「いつからなの?」


「え?」


「目…見えなくなったの」


「わからないです」


「…」


「記憶なくて…」


「生まれつきではないの?」


「はい。小学生の時に事故に遭って…それからだと思うんですけど」


「そうなんだ…」


「神経の異常とかなんとか…


ですけど、異常に耳がいいんです。私…


人の歩く音とか聞いて、だいたいの距離がわかるとか?」


「それ、すごいね。笑


でも、俺とぶつかったじゃん?」


「人混みでは音の判別難しいです。笑」


「そっか…



そういう他の人にはない才能、どこかでいかせれたらいいのにね」


「電話…」


「ん?」


「電話番号覚えるのに、プッシュホンの音の順番で覚えるんです」


「なにそれ。笑」


「光希さんのも覚えましたよ?090…」



ピッ ピッ





「へぇ…」


「音で覚えれば、押し間違いがないので」


「すげぇ」







人それぞれ






いろんな工夫をして








生きてるんです…

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