第18話

「ゆーなちゃん?」


『あぁ、なんでもないです…w

ちょっとジュース取ってきます!』バタンッ



グスッ


歌…上手すぎる…久しぶりに泣いたな…


感動した…



前…私隆矢くんの歌、控え室にいたから聴いてなかったんだ…


聴きたかったな…




戻りたくない…

泣いたら帰りたくなってきた…



「ゆなちゃん?」


『え?』


「大丈夫?どっか苦しい?」


『いや、隆矢くん…歌、上手だね!』


「一応…プロなんで…//」


『そぅ…だよね…w』


「泣かないで?ゆなちゃんには笑っててほしい…」


『え?あっ、ぅん…』


「もどろ?」


『私、帰るね。ほら、takaさん来ないしさ。w』


「え?いや、

あっほら!まだ “ 運命 ” 歌ってないしさ!」


『なんで?』


「え?」


『なんであの曲なの?』


「いや、俺、好きなんだ…」


『だから、なんであんな悲しいラブソング…

なにがいいの?他にもいっぱいラブソングあるのに…

なんであれ?』


「いい曲だと思うよ…


ゆなちゃんが、アメリカ留学するちょっと前に、

歌番組で弾き語りで歌ってたの見たんだ…


歌詞のひとつひとつに想いが込められてて…


いい曲だな…って思った。」


『え…』


「ゆなちゃん泣きながら歌ってて


今まではクールなイメージだったんだけど、


あっ、この人はこんなに素敵な曲が作れて、

こんなに素直に想いを伝えれる人なんだ…って。


もしかしたら、歌でないと伝えれないのかな…


すごく、純粋な人… 素敵な人…


“Yuhna”じゃなくて、“ゆなちゃん”が見れた気がしたんだ。」


『…』


「ごめん。うまく伝えれないけど…」


『わたしだった?』


「え?」


『“Yuhna”じゃなくて“わたし”だった?』


「うん。…俺はそう思ったよ…」



そんなこと言ってくれた人は…初めてだ…



『行こ!』


「え?」


『“運命”歌うから…』


「でも、イヤなら…」


『イヤなんじゃない…

思い出すのが、怖いだけ…』


「…」


『大丈夫

隆矢くんが聴いててくれたら、歌えるから…』


「うん」


『ゆーじさん。待ってるし♪』





あっ…

この人は私じゃなくて“わたし”を見てくれてる…


そう思った…



真剣な眼差しでそう言ってくれるあなたに…



あの時から時間が止まっているわたしは…



一歩前に踏み出せた気がするよ…

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