第36話 横行

 鎌倉時代――


 塁は銅将の駒の力を得て、さらに強力な戦士となっていたが、源氏を討つための力はまだ十分ではなかった。彼の心には常にさらなる力への渇望があった。そんな中、横行の駒の噂を聞き、塁はその駒を手に入れることを決意した。



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 横行の駒は、ある大名の領地の奥深く、険しい山中に隠されていると言われていた。その場所は「不吉な地」として恐れられ、人々は近づくことさえ避けていた。だが、塁は恐れず、その地へと向かった。


 険しい山道を進んだ末、塁はついに目的の地に到達した。そこには荒れ果てた古い寺があり、その寺の奥には一つの輝く駒が鎮座していた。横行の駒は、普通の将棋の駒とは異なり、不気味なほど強烈な光を放っていた。


「これが…横行か」


 塁は駒に手を伸ばした。すると、その瞬間、駒から強大な力が塁の体内に流れ込んできた。その力は無限の前進力を持ち、何者にも阻まれない、突破の力だった。


「これで、さらに強くなれる…」


 塁はその力を手に入れ、満足げに微笑んだ。横行の力は、銅将の防御力と融合し、塁をさらに恐ろしい存在へと変えていった。



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 しかし、その力を得た後、塁は徐々に力への執着に心を蝕まれていく。力を手にするごとに、彼の欲望は膨れ上がり、次第に他のものへの関心も薄れていった。そんな中、彼はある村で美しい女性、薫と出会う。


 薫は村の娘で、清楚で美しい容姿を持ち、強い心を持っていた。塁は彼女の強さと美しさに一目惚れし、次第に心惹かれていった。薫もまた、塁の堂々たる佇まいとその武勇に魅了されていった。


 彼女は、村で英雄のように扱われる塁に心を開き、二人は秘密裏に逢瀬を重ねるようになった。薫との時間は、塁にとって束の間の安らぎだったが、その背後には梨花への裏切りという苦しみが常に影を落としていた。


 塁は薫との関係を続けながらも、心の中で葛藤していた。梨花との約束、そして彼女への愛がある一方で、薫への欲望も止められなかった。力を得るたびに、塁の心の闇が深まっていくように感じられた。



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 現代――


 塁はふと、鎌倉時代の出来事を思い出していた。梨花と共に不老の実の謎を追う旅を続けていたが、過去の過ちが彼の心に影を落としていた。


「塁、最近何か考え事をしているみたいね。大丈夫?」


梨花は心配そうに彼を見つめた。塁は一瞬言葉に詰まったが、何とか微笑み返す。


「ただ、昔のことを思い出していただけだ。過去に犯した過ちや、得た力のことをな」


「過去に何があったの?」


梨花の問いに、塁はすぐに答えられなかった。彼女に全てを打ち明けるには、まだ心の準備ができていなかったのだ。しかし、塁は次第に自分の弱さと向き合わなければならないと感じ始めていた。


「いつか、すべて話すよ。でも今は、俺たちの旅に集中しよう。これから先、俺の過去の力がまた必要になるかもしれない」


塁は過去の浮気を思い出しながら、自らの心の弱さを乗り越える決意を固めた。そして、横行の駒と銅将の駒が再び力を発揮する時が近づいていることを感じつつ、彼は梨花と共に歩みを進めた。


その先には、過去の過ちと向き合い、真の強さを手に入れるための試練が待ち受けていた。


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