第28話 不死の石🪨

 数年後、網干伊右衛門あぼしいえもん率いる偽医者集団は、その影響力をさらに強めていた。老人たちは、病気を治すという口実のもと次々と犠牲になり、命と共に貯えた財産まで奪われていった。彼らが行う診療所は、地方の隅々にまで広がり、医療の仮面を被った詐欺行為はほとんど見破られることがなかった。


 網干伊右衛門は、その巨万の富を元に、各地で不動産や貴金属、骨董品を買い漁り、ますます財力を拡大させていった。彼の手には既に、金銀財宝だけでなく、裏社会や政府機関とも繋がる権力が握られていた。


 しかし、伊右衛門は満足することなく、さらなる野望を抱いていた。それは、古代の秘宝を手に入れ、さらなる不死と無限の力を得ることだった。彼は裏社会の情報網を駆使して、ある古文書の存在を知る。その文書には、かつて奈良時代に隠された伝説の宝「不死の石」の在り処が記されていた。


 だが、伊右衛門の計画を嗅ぎつけた者が現れた。それは、かつて彼に家族を奪われ、復讐を誓った一人の若者、鷹村亮だった。亮は、網干伊右衛門の正体を暴き、彼の闇の帝国を崩壊させるため、古文書を追いながら彼の足跡を追うことを決意する。


 亮は、各地で伊右衛門の手先と激しい戦いを繰り広げながらも、着実に彼に迫っていった。最終的に、二人は伝説の「不死の石」を巡る最後の対決の場、深い山奥の古代遺跡で再び相まみえることとなる。


 そこでは、命を賭けた戦いと共に、長年の陰謀と謎が次々と明らかになる。果たして、鷹村亮は伊右衛門の野望を阻止し、正義を取り戻すことができるのか。それとも、偽道満のさらなる力が世に解き放たれるのか――。


 藤原 清衡ふじわらのきよひらは、平安時代後期の武将で奥州藤原氏初代当主。なお母の有加一乃末陪が清原家に嫁いでいた関係で一時期清原 清衡きよはらのきよひらと名乗っていた。


 陸奥国(後の磐城国)亘理郡の豪族・藤原経清と陸奥国奥六郡を治めた俘囚長・安倍頼時の娘の有加一乃末陪の間の嫡男として生まれる。幼名不詳。なお、藤原経清は、藤原北家の藤原秀郷(俵藤太)の子孫とされており、1047年(永承2年)の五位以上の藤原氏交名を記した『造興福寺記』に、「経清六奥」(六奥は陸奥の意)と名前が見えていることから、当時藤原氏の一族の係累に連なる者と中央の藤原氏からも認められていたようである。


 父・経清は前九年の役で源頼義に反旗を翻し安倍氏に味方したが厨川の戦いで敗れた安倍氏と最後をともにした。この時清衡は七歳であった。敵将の嫡男であったので本来は処刑される運命にあったが、母が安倍氏を滅ぼした敵将である清原武則の長男清原武貞に再嫁することになって危うく難をのがれ、連れ子の清衡も清原武貞の養子となった。


 清原家には、清衡の他に、武貞の嫡子で清衡とは血のつながらない義兄の真衡、武貞と清衡の母の間に生まれた異父弟の家衡がいたうえに、吉彦秀武が清原武則の従兄弟にして娘婿であるなど複雑な血縁関係で結ばれた一族が存在しており、ややもすると血族の間で内紛が起こり易い状態にあった。


 永保3年(1083年)に秀武が真衡に背くと、清衡・家衡は秀武に同調して、真衡が秀武討伐に出羽に向かった隙に真衡の本拠を攻撃した。

 

 真衡と家衡の抗争が終わり、奥羽地方には静けさが戻ったかのように見えた。しかし、真衡の死をめぐる陰謀はまだ解決されておらず、さらなる混乱が予感されていた。その混乱の中心にいたのが、梨花と塁であった。


 梨花は若き戦士で、真衡の側近として働いていた。真衡が急死したその夜、梨花は何か得体の知れない陰謀を感じ取ったが、証拠を掴むことができなかった。塁は真衡の死に強い関心を持っていた情報屋であり、彼もまたこの死には何かが隠されていると感じていた。二人は表向きでは敵対しているが、裏では手を組んで真衡の死の真相を探り始めた。


 ある日、梨花と塁は平安京の検非違使である監物と出会った。監物はこの混乱に巻き込まれることを避けようとしていたが、梨花と塁の執念に感銘を受け、協力を申し出た。彼は清原家と朝廷の関係を知っており、戦の背景にある政治的駆け引きについても理解していた。


 3人は次第に真衡の死の真相に迫り、家衡がその裏で操られていたことに気づく。家衡はただの反乱者ではなく、背後には朝廷や有力な貴族が彼を利用して勢力を拡大しようとしていた。監物は、自分の役目が単なる秩序維持ではなく、この陰謀を暴くことにあると確信し始めた。


 冬の寒さが厳しい奥羽地方で、3人は家衡の館に向かった。そこには真衡の死に関する秘密が隠されていると考えたからだ。家衡は捕らえられ、金沢柵は包囲されていたが、真の黒幕を暴くためにはさらなる証拠が必要だった。


 家衡の館に潜入した梨花と塁は、密かに監物の助力を得て、家衡の書簡を見つけた。その書簡には、ある高官からの指示が記されており、真衡を暗殺する計画が詳細に書かれていた。監物はその内容を目にして驚愕したが、同時に自分が背負った使命の重さを感じた。


 最後に、3人は証拠を手に朝廷へと向かう。だが、そこで待っていたのは更なる陰謀と、監物をも巻き込んだ壮絶な戦いであった。戦の最中、梨花と塁は互いの信頼を深め、そして自分たちが背負うべき正義を見出すのであった。


 その夜、平安京の空に高く月が昇り、物語は次なる章へと続いていく。


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