第35話 今日の風は東風
冷めた晩飯を食った後はお風呂に入ってベッドで眠る。眠いから。
.......
デジタル時計が示すのは...4時。東雲だ。
何でか知らんけどあーんま寝れなかったな。ま、夜風にでもあたるか。
そう思って家から出ようとしたが、何か話し声らしきものが聞こえた。
「正義だとか、どうでもいいんですよ、東風様にとっては。」
「いえ、正義は人類に必ず無くてはならないものですの。」
夢唯と破壊野郎の話し声かな、これは。なーんか難しい話してんな~。
「なーんの話してんの?」
「あ、東風様」
「東風!聞きなさいよ!正義なんて人類には必要だとは思わないの!?そして私の知る正義ってのは」
「「犯罪者は黙ってろ。」」
「ぇ」
なんか五月蝿かったから少しだけ魔力出しながら夢唯と一緒に低い声で脅しといた。スマホ破壊野郎の顔は見たくねぇ。
その声のままで続ける。
「あと、人生を否定するような奴に僕は靡かない。僕が認めるのは、どれだけ辛い人生であったとしても、己の信念を曲げず、自分を認め、悪しき行動をせず、人に道を教え、正しい行いをする、
知的生命体だ。」
人間だけじゃない、猫だって犬だって狐だって狸だって、己らしく、正しく生きている。だから僕は、人間だけじゃなくてありとあらゆる知的生命体とちゃんと、話をする。
「あ、そうそう。正義なんて僕はどうでもいいよ。もし正義に捕らわれ続けるならそんな正義捨てちまえ。そして解放されたことを誇りに思ってくれ。慢心は、よくないけどね。」
あぁ、東の空に光が迸っていく。
「月は、西に沈んでる。太陽は、東から昇ってる。人類皆、同じ一等星を見てる。同じ一等星に、見られてる。
それを言うのが悪いことだって、知ってるからこそ何も言わず、見続けるんだよ。ま、僕なんかが語っていいのかは灼熱のみじょ、....みぞ知るんだろうけどね。」
「東風様......その星に、聞いてください。
親の言うことを聞かず、他人に依存する私は、悪い子なんですか?」
不意に、風が光る空から吹いてくる。まるで、まるで......なんかコントで突っ込んでるみたいな感じだ。
「僕は星と対話することが出来ないさ。
でも、僕個人として言うなれば、己の信念を曲げず、自分を認め、悪しき行動をせず、人に道を教え、正しい行いをする夢唯叶は」
東の空に、赤色のインクが滲んでいく。
「子供じゃない、悪い子でもいい子でもない、夢を唯叶えようとする1人の人間さ。」
それと同時に、
自分の腹の虫が鳴る。
「.......今日はコンビニのとんかつ弁当でいいか。」
今は料理する気になれない。財布に金はどれだけ入っていたっけ...
「あ、そうだ、いつもデジタル決済だった。財布持ってなかったんだった...
ま、ゲームから持ってくるか。」
空はもうとっくに、空色に染め上げられていた。淀んだ白を一切残さずに。
「東風様...ありがとうございます。陰った心を照らしてくれて。」
「え、このゲームとんかつ無いの!?別のゲーム行かないと!?」
「...東風様は、いつまでも呑気ですね」
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