二択
ーーほらな。
予感が当たっても少しも嬉しくなかった。むしろ当たってくれるなという予感だった。しかしそれが今、現実として輪郭を帯び始めている。
『真也、死んだって』
級友の死ですら晋平は冷静だった。だからこそ嘘でも冗談でもない事実として俺は受け入れざるを得なかった。
訳も分からないまま葬儀に参列した。遺影の中では触れる者皆傷つけるような今とはまるで雰囲気の違う、今より少し幼いはにかんだ真也の顔が収まっていた。
「事故ったって」
晋平から聞いた所、夜中バイクで走っていた真也は交差点で突っ込んできたトラックと衝突し、そのまま車輪に頭を潰されて即死だったそうだ。トラックの運転手は信号無視で突っ込んできて避けようがなかったらしい。
「分からんけど、方向的に国頭から帰ろうとしてたのかも」
事故った場所は偶然か国頭神社の近くだった。
「やっぱダメなのかも」
思わず俺は晋平の襟を掴んでいた。
「前も言ってたけど何なんだよそれ!」
“なんか、終わったかも”
あの日まるで自分の意思とは無関係に零れた晋平の言葉とまるで同じだった。
「知らんよ。伝わるように言うなら、頭に勝手にぽっと浮かんだってだけだから」
「なんだよそれ。霊能者みたいな事言いやがって」
「まあ多少そんな感じ」
「そうなのかよ」
「でも何も出来んよ。分からんし祓うとか無理だし。ただの勘みたいなもんだから」
「それでも感じるものはあるんだろ?」
「一応外れた事はない」
「もう黙ってろ」
何も言う気が失せた。
ーー本当に、刺されてた方がましだったのかも。
俺は大事な二択を完全に誤ってしまったのかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます