今日はアイスを食べる口なのだ

くさぶえ 舞子

第1話今日はアイスを食べる口なのだ

 保育園から帰ってきた四歳の息子がガリガリくん梨味を握りしめて

「食べていーい?」

 と、聞いていたのでチラリと温度計をみて、

「今日、寒いから冷凍庫になおしとって!」

 と、言った。普通のガリガリくんだったならまだしも限定の梨味。これは、私が大事に食べるためにとっておいたものだ。

シュンとしたけど、もう一度、別のアイスを探したけどモナカのアイスには興味をしめしていないふうだった。そして、もう一度ガリガリくんを持って

「食べていーい?」

 と、聞いてきたので、今度は取り上げて

「今日は、冷房が効いてて寒いからダメ!」

 と、言って冷凍庫に放り込んだ。

 それから、夕食を食べてしばらくして夫が帰ってきた。既に冷房は切っていた。今日は、一日中曇りと雨で寒いくらいだった。

夫はコンビニ病で、会社帰りにコンビニに寄らないと気が済まないたちだ。ビニール袋をぶら下げて帰ってきた。中にはパピコと、モナカとレモンスカッシュが入っていた。そのビニール袋を私に渡しながら

「ただいま」

と、夫が言った。それを受けとると、冷凍庫にパピコとモナカを、冷蔵庫にレモンスカッシュを入れた。

瞬間に冷凍庫を開けてパピコを夫に持っていき

「食べていーい?」

と、聞いていた。私はカレーを温めていた。

夫は

「かあちゃんと半分こね!」

と、言った。

しぶしぶ私の所にきて

「カレーがあついからアイス食べていー!」

と、理由のわからないこじつけをされた。食べ物の執着は恐ろしいのだ。今日は、どうしてもアイスを食べる口になっていたのだろう。

しょうがないので袋を開けてパピコの半分を切り離してやった。

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今日はアイスを食べる口なのだ くさぶえ 舞子 @naru3hakuji

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