私・僕・俺・自分・うち

蘇芳

第1話

これはこの世界の誰かの話



劣等感




あの子の方が可愛い。頭のいいあの子が羨ましい。キラキラと笑う笑顔が眩しい。

気づけば私はずっとそう思っていた。

可愛い子

モテる子

恵まれてる子

頭のいい子

そんな子達を見る度、モヤモヤして人並みのことすらもできない自分と比べてしまう。

少しでもあの子たちに近づきたいと、そう思って努力した事もあった。しかし、努力したところで私はあの子たちにはなれないと気づくだけだった。

そのうちこの気持ちは

「劣等感」

というと知った。

劣等感:他者や理想の自分よりも、現状の自分が劣っていると感じる感情。主に容姿や成績、体力、性格、人間関係、社会的地位など、劣等感が生じる。


私は成長するに連れて劣等感を常に感じるようになり、自分らしさや意見、自分の良いところが分からなくなっていった。

進学の面接や個人調査書を書く度、長所も短所も思いつかずありふれた事ばかり書いていた。


高校2年になり、公務員を目指している今

作文の練習をしていた。

題は「自分が大切にしていること」

何を大切にしているか......

特に思いつかず、挨拶や笑顔、礼儀を大切にしているとつらつらと書き原稿用紙を埋めた。

しばらくして返却され、添削を見る。


書いている内容は素敵でいいですが、もっとあなたらしさやあなたの事を書いて欲しいです。


そうアドバイスが書いてあった。

自分らしさ、自分の事......

何をしていても誰かと比べて劣等感を感じ続ける私には分からない。

でもきっと、自分らしさや良いところを見つけることが出来れば少しは自分を好きになれると思う。

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私・僕・俺・自分・うち 蘇芳 @momoryo

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