真夜中ラビリンス

さかの

第1話 めぐちゃん

そのレンタルビデオ屋で働いていたのはもう随分昔のことで、もちろんもうすでにビデオ屋さんなんて今では見ることがなくなったので、今を生きる人々にとっては〈過去〉として捉え、中には「そんなのあったのー?」なんて疑う若い子もいるかもしれない。しかしもちろんそこはあった。


店の名前が変わっていて、みんなは略して「めぐちゃん」と呼んでいた。


めぐちゃんはわたしが小さな頃からある狭く小さな古いお店で、何度か行くたびにレジの配置が変わっていてなぜだか不思議だった。

そこに大きな理由なんてないということを知ったのは実際にわたしが働いてからだったのだけど、今のわたしの生活スタイルと似ていて、めぐちゃんにはやっぱり強い縁を感じる。わたしは部屋の模様替えが好きで、たびたび家具の配置を替えているからだ。

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