ソーセージを待つ間に

星咲 紗和(ほしざき さわ)

第1話 静かな午後のはずが…

今日は、静かに過ごす予定だった。腸詰の手作りソーセージを作って、ゆっくりと待ちながらお茶を楽しむ。それが計画だ。すべての材料を揃え、ソーセージの中身を練りながら、キッチンでお茶を淹れた。


「さあ、あとはじっくり待つだけだ」


お茶の香りがふんわりと広がる中、ソーセージの準備も万全。台所は静かで、心地よい時間が流れ始めた。


ところが、そんな静寂は突然のインターフォンの音で破られた。


「誰だろう…こんな時間に」


とりあえず、お茶を一口飲んでから、ドアを開けてみる。そこには、顔を赤くした酔っ払いのおじさんが立っていた。髪はボサボサ、服はヨレヨレで、なんともいえない酔っ払い特有のニオイが漂ってくる。


「よお、お前さん、ここでソーセージ作ってるって聞いたんだがな!俺も味見したくてさぁ!」


「え?いや、これは個人的に作ってるだけで…」


「いいからいいから!そんなケチくさいこと言わずに、ちょっと食わせてくれよ!」


おじさんは勝手に家に上がり込もうとする。慌てて「いやいや、まだ出来上がってないし、時間がかかるんです!」と追い返そうとするが、おじさんは頑固に食い下がる。


「お前、ソーセージってのはさぁ、飲む酒で決まるんだよ!ほら、これでも飲め!」


そう言って、おじさんはどこからか酒瓶を取り出し、ぐいっと一口飲んだかと思うと、いきなり床に寝転がり始めた。


「ちょ、ちょっと!ここで寝られても困るんですけど!」


おじさんは大きないびきをかき始めた。どうしようか悩みつつ、ひとまずおじさんを横目に、ソーセージをチェックする。しかし、まだしばらく時間がかかりそうだ。


「なんでこんなことに…」


そんなことを考えていると、またインターフォンが鳴る。


今度は誰だ…と恐る恐るドアを開けると、次は時計を齧りながら喋っているお婆さんが立っていた。


「やあ、こんにちは。これ、食べられるのかい?」


…続く

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