第17話 刀匠ムラマサの鍛冶素材探し―7

・アイゼン鉱山坑道の最深部。

・今まで坑道としての通路さを感じさせただけの最低限の広さとは違い、

一気に空間が拡大した広さとなり、先ほどまでの雰囲気を一変させる。

・壁や周囲には他の鉱石とは異なる銀色の輝きを見せており、これらが

更に空間の雰囲気を不思議にさせている一因と一見してわかった。


ムコツ:

「へ~、さっきまでとは打って変わっての感じになったな」


ムラマサ:

「―――――いたぞ」


・一点を見据えてムラマサは口を開く。

・ムコツもそれに応える様に軽口を閉じ、表情を強張らせ、備える。

・向こうもまたこちらに気付いていたのか、作業の手を止め、ムラマサらの

方へと歩いてくる。

・ムラマサは光球(ライトボール)を天井の方へと打ち上げ、空間全体を照らす。

・そして先に来訪していた闖入者たちの姿を晒し出す。

・ヒトと異なる人種、ウロコを付けた爬虫類を彷彿とさせる外見。

・魔物とも称される竜人種に連なる種族【リザードマン】。

・そんな彼らはダンジョン内に巣食うリザードマンらは一線を画していることは

ムラマサらもすぐに理解出来た。


ムコツ:

「――――ダンナ」


ムラマサ:

「わかってる―――」


・言葉少なくともムコツに返答するムラマサ。

・今、目の前にいるリザードマンらは強いということを実感している。

・実際、こちらを見やり、微動だにしていない彼らは単純に棒立ちという訳では

なく、こちらに敵対の意思が見えた場合、即座に切り掛かる様に身構えていた。

・特に彼らの獲物がそれを物語っている。

・彼らの特に先頭にいるリザードマンの携えている物は間違いなく刀だ。


ムラマサ:

(やはり、彼らの目的は“刀の鋳造”か)


リザードマンA:

「―――――何者か、おぬしら?」


リザードマンB:

「鉱山夫の奴らではないようだな・・・新たに雇われた冒険者か?」


・構えと警戒を問わずにムラマサらに問いかけてくるリザードン達。

・ムラマサはまずは話し合うべきだと判断したか、腰に差していた刀を鞘に納めたまま抜き、地面へと置く。


ムコツ:

「ダンナ?」


ムラマサ:

「ここは任せろ―――――我々は敵意を持ってはいない。むしろ、そちらと話をしたいと思っている」


リザードマンA:

「話?」


ムラマサ:

「あなた方は単純な魔物ではない。その佇まいなどからそう判断した。まずはそちらと話をしたい・・・どうか?」

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