第16話 刀匠ムラマサの鍛冶素材探し―6

・ムラマサとムコツは魔物たちを蹴散らしながら、坑道を更に奥深く進んでいた。

・灯かりに関しては鉱山町の人々から貰った“光球(ライトボール)”のお陰で

坑道内の明かりは確保されていた。


ムコツ:

「ダンナ、今更の質問で悪いんだがよ、この鉱山ではどんな鉱物(モン)が

取れるんだ?刀の材料になると聞くからそれなりの質なのはわかるんだがよ」


ムラマサ:

「―――ここの鉱物は玉鋼に近い材質の金属を精製できるんだ」


ムコツ:

「へえ~そいつは初耳だぜ」


ムラマサ:

「それに、ここはもっと希少な金属の素になる鉱石も採れるからな――――」


ムコツ:

「そいつは?」


ムラマサ:

「―――――ミスリルだ」


・ミスリル。

・魔法金属とも称される銀色の輝きを有した希少価値の高い金属である。

・銅並に滑らかで鋼以上の硬度を誇ると言われており、ミスリルを用いた装備は

非常に力強い強力なものが多い。

・また、製造法にもよるがアンデッドや魔法生物に対しても相応の効果を発揮する

【特攻武器(スレイヤーウェポン)】の材料にもなっていたりするなど用途は往々に

して様々である。


ムコツ:

「もしかしてリザードン達の目的は?」


ムラマサ:

「おそらくミスリルの発掘だろうな・・・ここら辺の鉱石も悪くないが奴らが

求めているのならおそらくは上質の良いミスリルだろう」


ムコツ:

「そいつで刀を作ろうとしているなんざ、中々酔狂と言うべきか凝り性と言うか・・・」


ムラマサ:

「どちらにせよ、鉱山夫らにとってもメリットはない。貰った地図によればそろそろ

最下層のはずだ・・・そこで連中に逢うぞ」


ムコツ:

「――――応じなかったらどうする?」


ムラマサ:

「手荒な手段は最後にしたいがな・・・」


・そう言うと歩み始めるムラマサとそれに続くムコツ。

・深部まであと僅かだろう坑道を進んでいく。

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