九天の楔

空潦

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 むかしむかしのおはなし。

 太陽がとおもあった頃の話。

 彼らは交代で空を飛び、地上を明るく照らしていました。

 ですがある日、彼らは一斉に日差しを降り注いでみることにしました。

 たちまち地上は干ばつに襲われ、人々は困ってしまいます。

 それを解決するため、神々は弓の名手であった羿げいを呼びました。

 羿は太陽に向かって威嚇射撃を試みますが、太陽たちは動じません。

 やむを得ず羿は九つの太陽を撃ち殺してしまいました。

 羿はその後も様々な妖怪や魔物を倒し、やがて人々から守護神として崇められるようになりました。

 しかし、息子の太陽を殺された天の神様は、羿とその妻の嫦娥じょうがから神籍を剥奪し、天から地上に堕としてしまいました。

 神様ではなくなり不老不死を失った二人は、仙女の長から不死の薬を譲り受けることになりました。

 不死の薬は一人分飲めば不老不死に。二人分飲めば神に戻ることができます。

 それを知った嫦娥は、二人分の薬を飲んで月に逃げてしまいました。

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