第20話
あれから二か月経った。ソフィアが増えた新生活に慣れるまでのごたごたもあったが、戦う事自体に慣れ、チームワークも出来ている。そして。
「ストレヤスエグ、確認したわ旦那様!」
「足止め頼む!」
『完了している。』
『押さえてろ!後数刻で着く!』
[ウォールハック起動、建物先にいるモンスターを視界情報と合成します。]
「でっか!あんな鹿日本にいねえよ、ムースとかそういうやつじゃねえか!」
俺はガンプとリキを大分使いこなしていた。ソフィア以降、未だ他の神片の襲撃は無いが、化け物の発生は続く上、どんどんと強力な敵が出る様になった。一応被害を押えて死者は出していないが、建物の損壊は避けられない様になっていた。
『滑剣で屋根を行くぞ!』
「おう!ガンプ!」
[バランサー、スラスター設定変更。どうぞ。]
パチン!という音と共にガンプに増設したつま先のバックルで刀の峰に足を固定し、ビルの屋根を滑る。
旅行とかで電車乗って景色見ている時に、屋根の上になんかを滑らせるやつを自身でやる日が来るとは思わなかった。
そして俺はまた刀でオーリーをしてビルの谷間へ落ち、迫る壁に刀を添わせると勢いがそのまま推進力に変わり壁の側面をスケートの様に滑る。これで壁に傷が入らないのだから、リキの能力コントロールは見事な物だ。相変わらず綺麗な氷は出せないが。
「見えた!」
『衝撃剣に変える!飛ぶぞ!』
[了解、行きます。]
バン!と腰の増設したスラスターを一時噴射して壁から離れ、地面に衝撃剣を撃って前に飛ぶ。
そしておよそビル三階ほどの体高の大鹿、名前忘れた奴の正面に迫る。相手は足元を凍らせて動けないながらも角をこちらに向け、迎撃の構えを取った。
『愚かな、我に力比べで勝てると思うな!』
そのままリキは切断剣に指向性を変えて、ズラリと一刀でおよそ体長30メートルのその胴体を角ごと上下に分断した。
『よっと。』
バガン!
「あ!馬鹿!」
そして着地で衝撃剣を使ってアスファルトを余計に抉ってしまった。俺はここで滑剣使って勢いを殺すつもりだったのに。
「まーた壊しちゃっただろー。」
『お前、どうしてそんなみみっちいんだ。』
「やったわね、旦那様!」
そう言ってソフィアもこちらに駆けてくる。彼女とは距離による拘束を既に解除してあるので、今は別れての戦闘も可能となった。
しかし彼女の希望で3キロ以上離れると感覚で解るという設定をしている。近くにいるのが解って便利という事だが、それ以上に俺とソフィアの距離も近くなっていた。
[本日はこれで討伐完了です。]
「結構きつかったが損害は軽微か。もう流石にゼロにはできないな…。」
「でもその上で来週があるわ。」
「ああ、強襲型、レイドタイプだっけ?」
そう、この化け物の強化型が出るという予報が出ているのだ。天気予報でいえば、嵐や台風といった所だろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます