アキ様との契約事情

@hakugin89

序章のようなもの

カンカンカンカン、と警報が頭の中で鳴り響く。

急げ、急げ。手遅れになる前に、その為ならばこの手足が千切れてもいい。


兎に角、走れ。


間に合え、お願いだ。もし神様が居るのなら、間に合ってほしい。

これはオレの一世一代のお願いだ。



『アキ』



『なァ…、頼むよぉ。』



縋る想いで手を伸ばした。



『だいすき』



其の瞬間、重い衝撃音と共に桜が散った。

ヒラヒラ、ヒラと。



伸ばしたオレの無力な手は、空を切った。




カンカンカンカン、


警報は今でも頭で鳴り続けている。






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