30歳=彼女いない歴が賢者になって異世界をプラプラするお話~ 異世界に日本の製品を持ち込んだらチートだった

REI KATO

第1話 女神様がやってきた

 こたつに潜り込みながら、みかんにゲーム。

 極楽だよね。

 このみかん、デコポンという。

 今は3月でデコポンの旬とされる季節だ。


 でも、ちょっと疲れてきたな。

 もう、2日ほとんど徹夜でゲームしてるから、

 目がしょぼい。


 時間の感覚がなくなってるけど、午前8時か。

 生活サイクルがおかしくなってきたな。

 でも、寝たほうがいいかな?と思っていると、

 突然、眼の前が眩しく光り始めた。


『!』


 眠気が吹っ飛んだ。

 だって、眼の前、こたつの向こう側には、

 きらびやかなドレスを着た物凄く綺麗な女性が

 横座りしていたからだ。

 いや、オーラが眩しくて直視できない。

 ただ、厳かな雰囲気は伝わってくる。


「え、えっと、ど、ど、どちら様ですか」


 いや、なんてお間抜けな質問だ。

 でも、噛みまくりでも仕方ないよね?

 彼女は突然眼の前に現れたんだぞ。

 

『妾は女神クリスティーナであるのじゃ、相崎賢よ』


 は?女神クリスティーナ?のじゃ?

 なんで、僕の名前知ってるの?


『なんじゃ、その目は疑っておるのか?』


 疑っていると言うか、頭がおかしいと思ってます。

 可哀想に。

 そう思ったら、急にオーラが薄くなってきた。

 青銀のロングヘア・ブルーアイで目映い。

 やっぱり、見たことのないような美人であった。

 顔を見た瞬間に直視できなくなったんだけど。


 でも、何故か急にこの女性が女神様であると

 信じられる気がしてきた。

 それに、頭の中で声が鳴り響いているんだよね。


『念話を使っておるからの。直接、お主の脳に言葉を伝えておるのじゃ』


 はあ?

 テレパシーってやつ?


『お主は30歳の誕生日を迎えたの?』


 な、なんで知ってるの?

 今日は僕の誕生日だった。

 30歳。

 おじさんじゃないか。


『しかもじゃ。30年間、女性関係なしじゃ』


 この人、僕のストーカー?

 なんで、そんなことも知ってるの?


 とにかく、ほっといてください。

 僕は昔からあんまり女性に興味がないんです。

 というか、女性が怖いんです。


 電車乗ったりすると痴漢の冤罪に陥れられるから、

 僕は、極力女性のそばによらない。

 夜道で前を女性が歩いていたら、道を変更する。


 もうね。本当に怖いんだよね。女性が。

 でも、不思議なことに眼の前の女性には

 怖さを感じない。

 少しずつ、目線を上げていく。


『での、30年女性関係なしじゃと、一般的に魔法使いになれるのじゃ』


 は?

 いや、そういう話はよく聞くんだけど。

 都市伝説でしょ?


『いや、都市伝説ではない。ただの、この国では女性関係に疎いやつが多くての。対象者が溢れかえっておるのじゃ』


 ああ、そういう話も度々聞く。

 女性と付き合ったことのない男性が増えている。

 そういや、婚活パーティとか結婚相談所とか、

 男性がいないらしい。

 僕のご同類がたくさんいるのかな。


『そうたくさんいても困るのじゃ。そこでの。阿弥陀をひいて決めることにしたのじゃ』


 アミダ?

 もうちょっとどうにかしようよ。

 でも、『この国では』、なんて言ってるし、

 対象者は日本人だけ、ってこと?


『そうじゃ。日本人はの、そこそこ頭が良くて性格も悪くない。ルックスはともかく、人気があるのじゃ』


 人気があるって、誰に?


『そりゃ、関係者にじゃ。当然じゃろ。しかも、魔法を使いたいとか妄想しとるやつが多くての。魔法使いへの抵抗感がないのじゃ』


 ああ、そうかも。

 僕なんかも魔法使いになれるのなら

 嬉しいもんね。


『ただの、無作為に選ぶのはちと問題があっての』


 問題?


『今まで選ばれた者どもで問題を起こすやつが増えてきておる』


 ほお。


『お主、知っておるか?スライムになって異世界の王になった話を』


 ああ、そういうライトノベルが大人気だよね。


『小説ではない。あれはノンフィクションじゃ』


 え?


『まあ、多少は盛っておるがの。じゃが、あらすじ的には事実ベースなのじゃ。あの話に限らず、自分の体験談を小説にしておるケースが多いぞ。というか、なぜか異世界体験者が小説を書くブームがおきておっての』


 そうなの?衝撃。


『もともとは魔王などを討伐するために転生者を呼んでおったのじゃが、いつのまにかそういうのはなくなっての』


 ああ、そういえばスライムさんは魔王だよね。


『今ではむしろ文明発達の起爆剤にしておることが多い』


 なるほど。


『前はあの話のように成功例が多かったのじゃ。での、問題を起こす、というのはの、イキリ太郎が増えてきておっての。ほうぼうで顰蹙を買っておるのじゃ』


 イキリ太郎って。

 僕、なにかやっちゃいました、とか?


『ああ、その手合じゃ。鼻持ちならん上に頭の悪いやつが増えたおかげで、もっと選別をしっかりやろうということになっての』


 ああ、そりゃそうだよな。


『神々が集まってドラフトしようという話になったのじゃ』


 神々って。

 天照大神とかですか。


『ああ、彼女もいるの。彼女は日本の神であるが、いくつかの次元の神も兼任しておる。他の神々もいろいろな次元の神じゃ。ちなみに、妾もこの世界の神ではない。この世界に隣接する異次元の神じゃ』


 隣接してるんですか?


『うむ。高次元的にじゃ』


 まあ、そうだよね。


『での、適切な人材というのはみんなが選びたがるのじゃ。数も少ないから選択が重なってしまうのじゃ。そこで、不公平のないようにアミダクジで当選者を決めたのじゃ』


 アミダクジで決めたって、

 しっかり決める、とか言ってなかったっけ?

 なんだかなあ。


『妾の担当する次元に選ばれたのがお主じゃ。お主は特別みたいでの、魔法使いでなくてバージョンアップされた賢者になるのじゃ』


 は?

 賢者?

 次元に選ばれた?


『そうじゃ。お主は賢者として妾の世界に転移できるのじゃ』


 転移できるって?

 異世界転移ってやつだよね?


『そうじゃ。当たり前じゃろ』


 いきなり異世界で賢者デビューか。

 肩書、凄いよね。

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2024年12月1日 12:00
2024年12月1日 16:00
2024年12月1日 20:00

30歳=彼女いない歴が賢者になって異世界をプラプラするお話~ 異世界に日本の製品を持ち込んだらチートだった REI KATO @keitakato

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