公爵さまのお嬢さまとメイド

とねてつVer2

公爵さまのお嬢さまとメイド

「ほら!まだ水汲みが終ってないでしょ?」

「窓の掃除はどうしたの?」

「廊下は走ってはいけません!」


朝からフェリシアお嬢さまの怒号が飛ぶ、お屋敷。


「まったく、あなたは使えないのね?もうすこし使える子だと思ってたわ!」

お嬢さまは私より一つ年上の18歳、ラファエル公爵家の長女であり、

この帝都から北に5マイルにあるセバスニタウンを領地としている領主でもある。


美しいブロンドロングヘア、切れ長の目、高い鼻、薄い唇、長い手足、スタイル抜群

いままでにも何度もほかの伯爵家から、お見合いの話は舞い込んできていたんです。


でも「ったく、わたしレベルの女性に合う男性がいないのかしら?」


「フェリシア」

「ごきげんよう!お父様、ご用がおありですか?」

「うむ、実はわしの親友であるトールデン伯爵の長男がちょうど結婚適齢期でな」

(また?お父様、その話は無かったのでは?もうお見合いなんて)

「トールデン伯爵とわしは士官学校時代からの親友。お前を是非というんだ」

「・・・」


「どうしたのだ?お前にとってもいい話だと思うのだが」

「少し考えさせてくださいませんか?お父様」

「わかった、ではまた後でな」


まだ結婚したくないみたいで。

いまの公爵家の長女であり領主でもある生活から離れたくないらしく。


この国では、20代半ばとなると、行き遅れと呼ばれるようになるし、

いまからでも準備しないとダメなんじゃないかなぁと、お嬢さま付きのメイドである

わたし、マルグリット17歳でもそう考えるのです。


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今日も朝から、お嬢さまはご機嫌斜め。

執事のセバスチャンが「お嬢さま、家庭教師のフランチェスカ先生がお見えです」と


そう、お嬢さまは聡明な方ですが、まだまだ勉強したいって言うので

お父様のラファエル公爵にたっての希望ってことで依頼したそうで。

王宮付きの学者先生なのに、フランクで親しみやすいかたなのです。


「お嬢さま、今日はここからお勉強いたしましょう」


「・・・・」

「どうしました?」

「すこし頭痛がしますの」

「あら、それは大変、今日のお勉強はお休みにしますか?」

「そうしていただけますか?明日は大丈夫かと・・・」

「承知しました、お嬢さま。では明日、また伺います」


フランチェスカ先生が馬車に乗ってお屋敷の門を出て行くのが見えた直後。

「マルグリット!ちょっと」

家庭教師の先生を頭痛といってお帰り頂いた人の声とは思えない大声が。


「はい、お嬢さま。お呼びですか?」

「呼ばれたらすぐにきんさい!」

どうしたらこんな大声が出せるのか?

「マルグリット、これからセバスニタウンへ行きますから準備して!」

「早く!早くしなさい!」

別に急いだところでセバスニタウンが無くなる訳でもないのですが。

「お嬢さま、お待たせしました」

「行くわよ、持って来たわよね?」

「はい、お持ちしました」


「じゃあ、ステファーノ、頼むわよ」

「かしこまりました、お嬢さま」


馬車は帝都を抜けてのどかな田園地帯を走る。


「お嬢さま、今日はお泊りですか?」

「ええ、そうよ、その仕度はしてきましたか?」

「はい」


今日はセバスニタウンへ何しにいくのかは、大体わかっているのです。




セバスニタウンにある領主の館、

帝都のラファエル公爵邸に比べれば、随分と小ぶりでも

この街では一番大きな屋敷なのです。


「いらっしゃいませ、フェリシアお嬢さま」

執事やメイド、料理人が整列して迎えている。


「ステファーノ、帰りの迎えは1週間後よ。よろしくてね」

「承知しました、お嬢さま」と馬車は御者のステファーノと一緒に帰っていった。


何をしにここへやって来たのかと言えば。

「やっぱりここは良いところだわ。帝都に比べると静かだし、煩わしさもないし」

「そうですね、お嬢さまはここがお好きですね」

「マルグリットはどうなの?」

「はい、いいところですよ、お嬢さまとご一緒ですし」

「うれしいこと言ってくれるわね。じゃあ例のあそこ行きましょうか?」

「仰せの通りに」


フェリシアお嬢さまとメイドのマルグリットが向かった先は・・・

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