22 それぞれの家族

第95話

「お盆休みを利用して、父さんもこっちに来るってさ」



私の体調が回復したのは、それから4週間後のことで、暦も8月になっていた。



帰国をずるずると遅らせて私の看病と倫の世話、そして家事全般に奔走してくれていた母には、感謝してもしきれないくらいだ。



当初は英語も出来ず外人ばかりのこの国に大人しくしていた母だけれど、毎日顔を見せてくれるハミルトン夫妻とは、旧友のように仲良くなっていて、私が回復するや否や、彼らとドライブや買い物に出掛けてしまうくらいになっている。



いつまで経っても帰国しない母に呆れたのか、今度は父もこちらに乗込んでくるようだ。



「健康だけが取り柄なのに出産でダウンして夏風邪までこじらせて。父さん、孫のことより千捺に会いたいのよ」



「そっか」



「それにね。父さんもあと数年したらお店を智充さんに譲るつもりなの。だから実験的に智充さんに店を任せて、こっちでしばらく呑気にさせて貰うって」



「え?。いつまで居るつもりなの」



「予定では2週間かしら。昴さんにはちゃんとオッケー貰ってるんだから安心して」



そんな母や父の気まぐれで、私たち家族と両親での突発的な同居がスタートしたのだった。

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