第86話
そんな感じで土曜日も過ごし、ようやく決勝戦のある3日目の日曜日になった。
私たち4人は最終コーナーの正面にあるスタンドの指定席に座ってスタートの瞬間を待った。
「何万馬力って言うだろ。スタートのこの瞬間、唸るエンジン音って何万頭もの馬が戦慄いてるように感じるんだ」
昴さんがそう表現するように、私の目の前に整列している二十数台のマシンが何百万頭もの馬の力を秘めた大きな物に感じた。
シグナルがブラックアウトしてレースはスタート。
それからの90分は、クラッシュに驚いたり、リタイアする選手を残念に思ったり、サイドバイサイドの攻防に手に汗を握りながら観戦した。
ポディウムに立ってシャンパンファイトをするF1ドライバーは、やっぱりカッコイイと思った。
新しい世界に出会えるきっかけを、昴さんは私にたくさんくれる。
モータースポーツに無縁だった私も、彼の導きでその面白さを知ることができた。
こんな風に、きっと私の世界も広がって行くのだろう。
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