第14話
そして4回目のデートの時に、それは現実味を帯びた物へと変わった。
『結婚してからお互いを知ればいい。僕はそろそろ結婚の準備段階に入りたいと考えてるんだけど、いいかな』
この言葉が、プロポーズだったんだと思う。
甘い装飾もない、とても現実的なセリフ。
好きだの惚れたのだのと上辺だけの言葉で取り繕うよりも、素直で誠実だと感じた。
何より、そんな恋愛テイストや運命を感じて引き合った関係性ですらない私たちなのだから、当然のことなのかもしれない。
はい、と返事をしたその1時間後には、宝石店でエンゲージリングとマリッジリングを選んでいた。
『千捺さん、エンゲージリングは簞笥の肥やしにしちゃいけないよ、身体の一部みたいに毎日着けていて欲しいんだ。だから自分が納得できるものを選べばいい』
カルトンの上に並んだ価格表示がまったくないダイアのリングは、とても普段使いにできるような気軽さがない。
アドバイザーのお姉さんが気を効かして、小さめのダイアを彩るようにマカロンカラーの宝石を埋め込んだ指輪を新たに見せてくれた。
ゴージャス過ぎずカジュアル感もあって素敵。
おそらく、当初見ていた物よりも値がはったように思えたけれど、彼も私の肌に合うと喜んでいたから甘えることにした。
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