第7話

次に紹介されたのは、有名国立大学出身の大手製薬会社に勤める25歳の研究員だった。



前回の反省点から、杉谷さんはとても真面目な人を紹介して下さった。



女性を前にすると緊張すると言う彼は、年上にも関わらずどこか可愛くて、口下手だけれど会話を繋げようとする姿勢に好感が持てた。



異性との交際経験がない私と彼は、どこかよく似ていた。



並んで歩くことに戸惑ったり、手が触れただけで大袈裟なくらいにあわててしまったり。



私はどこかで、この人ならと感じ始めていたから、彼とは1ヵ月近く週末デートの誘いに快く応じた。



マニュアル通りに映画や遊園地、ショッピングに出掛けてたけれど、お互いあまり目線を合わせることに不馴れで照れてばかり。



だから、日暮れ前にはあっさりと解散した。



そろそろきちんとしたお返事をする時期だと思っていた矢先、杉谷さんを通して彼からお断りの連絡が入った。



正直、断られるとは考えていなかったから、かなり落胆したのは言うまでもない。



『お相手の方ね、千捺ちゃんとの結婚を決めたいって郷里のご両親に話したみたいなんだけど、やっぱり地元の人じゃないと駄目だって別の縁談を勧めたらしいの。彼、最後にね、僕は不釣り合いだから身をひきますって泣きながらおっしゃったのよ』



お見合いと言っても、杉谷さんが勧めてくれるセッティングはあくまでも両者を引き合わせるもので、大袈裟なものではなかった。



どんなに気に入ったとしても、そこには両家の考えがある。



私は少し簡単に考えてしまっていたんだと、悲しくも2回目の相手で実感することになった。

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